2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of molecular mechanisms for nutritropism in plant roots in response to external nutrient gradients
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
21H05650
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 清志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任講師 (20611297)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 栄養屈性 / アンモニウム輸送 / オーキシン / 偏差成長 / 屈性 / 根 / 植物栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主に栄養屈性に関与するOsNAT (Nutritropic ammonium transporter)の機能解析を通じて、イネの根がどのように栄養濃度勾配の感知と伸長方向の変化を行っているのか、その分子機構の解明を目指した。 OsNATを欠損すると側根で見られる栄養屈性は完全に見えなくなるため栄養屈性に必須の遺伝子である。OsNATpro:GUS 発現イネを作出、解析することでこの遺伝子の発現パターンを知ることができ、主根及び側根の根端において静止中心の下部に位置するコルメラ根冠に染色が観察された。ほかの部位にはほとんど染色が見られなかったことから、栄養屈性にはコルメラ根冠におけるアンモニウム輸送が必須であることが示唆された。 名古屋大学 中園グループとの共同研究で過去に得られた根端トランスクリプトームデータを用いて、栄養屈性の屈曲メカニズムについて解析を行った。両組織間で有意な発現差を示した153遺伝子(DEGs)の中から植物ホルモン関連遺伝子について注目すると、いくつかの植物ホルモン生合成遺伝子がDEGsに含まれていた。これらの遺伝子に関連する植物ホルモンの生合成阻害剤または輸送阻害剤を栄養源に加え栄養屈性への影響を評価すると、オーキシン・ジベレリン・エチレン生合成阻害剤およびオーキシン輸送阻害剤存在下で栄養屈性の反応性が有意に著しく低下した。これらの植物ホルモンは重力屈性において重要であることがすでに知られている。このことから、栄養屈性は屈曲に必要な植物ホルモンが重力屈性と同じである可能性が示唆された。 これらの成果により、栄養屈性の栄養濃度勾配感知メカニズムのインプットとアウトプットはそれぞれ、コルメラにおけるアンモニウムの流入とオーキシンの排出であり、屈曲メカニズムは重力屈性と同様であることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に、関連する植物ホルモンを明らかにできるなどの成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
もう一つの栄養屈性に関与する遺伝子、OsENR1(Enhanced nutritropic root 1)の機能解析を進める。
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Research Products
(1 results)