2022 Fiscal Year Annual Research Report
光環境レジリエンスを支えるフォトトロピンの情報統御とプロテオーム多様化機構
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
21H05665
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
武宮 淳史 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80448406)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 青色光 / 光合成 / フォトトロピン / 細胞膜H+-ATPase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の不均一光環境への適応機構を明らかにすることを目的として、青色光受容体フォトトロピンと光合成との情報統御を介した気孔開口の分子機構の解明に取り組んでいる。光に応答した気孔開口には、光合成に依存した反応とシグナルとして作用する青色光特異的な反応が存在し、両者の間には相乗効果が存在する。青色光による気孔開口では、フォトトロピンは細胞膜H+-ATPaseのC末端から2番目のThr残基のリン酸化を引き起こす。このリン酸化に依存して14-3-3タンパク質が結合することで、C末端の自己阻害領域による抑制が解除され、H+-ATPaseは活性化すると考えられてきた。しかし、これを遺伝学的に証明した例はない。本研究では、孔辺細胞プロトプラストを用いたリン酸化プロテオーム解析から、H+-ATPaseのC末端から2番目のThr残基に加えて、その上流領域に存在するThr残基が青色光に応答してリン酸化されることを見出した。アミノ酸置換の手法を用いた機能解析から、この2箇所のThr残基のリン酸化はともに細胞膜H+-ATPaseの活性化と気孔開口に必須であることが分かった。さらに、上流領域のThr残基は青色光のみならず、光合成に依存してリン酸化されることを見出した。以上の結果から、細胞膜H+-ATPaseの活性は孔辺細胞光合成と青色光シグナルによる2カ所のThr残基のリン酸化によって統合的に制御されることが明らかとなった。これらのメカニズムは孔辺細胞が自身の光合成の活動変動と青色光のシグナルを統合し、不均一光環境下で気孔開口を厳密に制御する上で重要であると考えられる。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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