2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism on regulation of chloroplast distribution pattern under fluctuating environment
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
21H05666
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 栄治 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90614256)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 葉緑体光定位運動 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は光合成の場である葉緑体の細胞内空間配置を変えることで、時空間的に不均一な環境に対して細胞レベルで応答し、光合成を最適化している。従来、葉緑体の細胞内局在変化は、青色光受容体フォトトロピンのみによって誘導されると考えられてきた。興味深いことに、光合成依存の応答は、光合成が阻害されない限り、フォトトロピン依存の応答よりも優先された。その一方で、申請者らは、ゼニゴケにおいて、フォトトロピン依存の応答に加えて、光合成依存の応答が存在することを発見した。光合成依存の葉緑体の細胞内局在変化は、申請者が調べた限り、光に集まる反応のみが誘導されることが分かった。 光合成の活性は光だけでなく様々な環境要因に左右されるため、光合成依存の応答を有する植物は複数の環境を同時にモニターすることができる。すなわち、複合的な環境の変化に対する植物の環境適応において、光合成依存の応答は重要な役割を担うと考えられる。実際に、光合成依存の葉緑体の細胞内局在変化は、光だけでなく温度(低温や高温)や塩濃度によっても阻害されることが分かった。さらに、フォトトロピン依存の応答が専らアクチン繊維依存的に誘導されるのに対して、光合成依存の応答はアクチン繊維に加えて微小管依存的にも誘導されること、アクチン繊維と微小管は冗長的に作用することが分かった。 光合成依存の葉緑体の細胞内局在変化に関して、生理学的意義や関与する細胞骨格が明らかになる一方で、その分子機構は不明なままである。そこで順遺伝学的な解析を試み、現在までに光合成依存の葉緑体運動に異常を示す変異株を2個体単離することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光合成依存の葉緑体の細胞内局在変化に関して、植物の生育における生理学的意義と局在変化に関与する細胞骨格を明らかにすることができた。また、光合成依存の葉緑体の細胞内局在変化には、既知の光受容体依存の葉緑体の細胞内局在変化に関与する因子が関与しないことを見出した。逆遺伝学的な解析により、光合成依存の応答の分子機構には迫れなかったが、順遺伝学的な手法により関連因子が同定されつつあるため、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
順遺伝学的に同定した因子の作用機作を明らかにする。また、光合成依存の葉緑体の細胞内局在変化がに伴う、細胞骨格の動態を観察する。さらに、薬理学的な手法により、光合成依存の応答のシグナル源の同定を目指す。
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Research Products
(10 results)