2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reopening of neural criticality in autism by control of autistic resting-state brain dynamics
Publicly Offered Research
Project Area | Inducing lifelong plasticity (iPlasticity) by brain rejuvenation: elucidation and manipulation of critical period mechanisms |
Project/Area Number |
21H05679
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 喬光 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 准教授 (10710767)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 脳神経ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
何もしていないように見える安静時においても脳は活動している。これはノイズだけではない。実際、このような安静時脳活動(resting-state brain activity)は、脳の機能的バックボーンを表象していると考えられている。我々は以前、機能的磁気共鳴画像法(functional MRI、fMRI)を用いて記録されたヒト安静時脳活動に注目することで、「高機能自閉スペクトラム症(ASD)成人の重症度スコアおよび 全般性認知機能は共に、彼らの神経遷移ダイナミクスが非定型的に安定化していることと相関している」と いうことを明らかにした。この知見をもとに本研究では、「安静時脳活動の神経遷移ダイナ ミクス(resting-state brain dynamics)を適度に不安定化させれば、ASDの臨界期を再開 させ、中核症状の少なくとも一部(e.g., 認知の硬直性)を緩和させることができるのではないか」という仮説を検証する。
この目的のために、最近そのプロトタイプが完成した独自の脳状態駆動型非侵襲的神経刺激法(brain-state-dependent neural stimulation)を拡張させ、 resting-state whole-brain dynamicsの制御法の確立を目指す。本研究が成功すれば、ASDの臨界期の再開を実現するための新たな視点と方法が得られると期待される。さらに、このresting-state brain dynamicsの制御メカニズムとその利用法が同定されれば、より幅広い生物学的・臨床的インパクトや発展性が示されると考えられる。
2021年度は、健常被験者を対象にした研究結果をもとに、この脳状態駆動型非侵襲的神経刺激法の正確性や独自性を論文として発表した。さらにより高密度の脳波計を導入することでこの刺激法の空間分解能の向上を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基盤となる実験系について論文化することに成功し、さらにその性能を高めるために高密度脳波計を導入することができた。概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、この高密度化した脳状態駆動型非侵襲的神経刺激法を、さらに高密度化・安定化する。そして、自閉スペクトラム症の傾向を示す当事者において見られる認知の硬直性がこの装置によって改善するのかを実験を通して検証する。
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