2021 Fiscal Year Annual Research Report
neuroligin-3遺伝子操作による自閉症の臨界期ロールバックに関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Inducing lifelong plasticity (iPlasticity) by brain rejuvenation: elucidation and manipulation of critical period mechanisms |
Project/Area Number |
21H05686
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田渕 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20546767)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉症 / 神経発達障害 / IQSEC2 / IQSEC3 |
Outline of Annual Research Achievements |
neuroligin-3と同様に、X連鎖性自閉症の原因として指摘されているシナプス後部タンパク質IQSEC2のノックアウトマウスを作成し、行動解析および電気生理学的解析を行い、IQSEC2ノックアウトマウスが社会性の低下をきたすこと、社会行動において野生型マウスの内側前頭前皮質で起こるc-fosの上昇が、このノックアウトマウスでは起こらないことを予備実験データとして得ていたが、自閉症の臨界期を過ぎた成熟IQSEC2ノックアウトマウスの内側前頭前皮質にアデノ随伴ウィルスを用いてIQSEC2遺伝子を導入すると、行動解析において社会行動の異常が改善すること突き止めた。また、IQSEC2ノックアウトマウスの内側前頭前皮質第5層の錐体ニューロンで興奮性および抑制性シナプス機能の低下が起こるが、この低下もIQSEC2の導入によって改善されていることを示し、論文に発表した(Mehta et al., Cells 2021)。また、同じファミリータンパク質で、抑制性シナプス後部特異的に局在するIQSEC3のノックアウトマウスを作成し、このマウスが恐怖記憶の低下をきたすことと、海馬においてmTORパスウェイ分子群のリン酸化が更新していることを見出し、臨界期を過ぎた成熟IQSEC3ノックアウトマウスの両側海馬にmTORシグナルのハブとなるS6K1のドミナントネガティブを、アデノ随伴ウィルスを用いてに導入すると、恐怖記憶が回復することを見出し、論文に発表した(Kim et al., Biol Psychiatry 2022)。neuroligin-3自閉症モデルマウスについても、臨界期を修了した後の成熟マウスの内側前頭前皮質で、neuroligin-3変異遺伝子を除去した状態での社会行動実験を継続し、データを積み上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題採択以降、本研究に関する論文を責任著者として3報発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
IQSEC2自閉症モデルマウスについて、社会行動異常の責任領域と考えられる内側前頭前皮質に焦点を絞り、臨界期を過ぎた成熟マウスにDREADDやチャネルロドプシンなどのコンストラクトをアデノ随伴ウィルスを用いて導入し、責任神経回路の活動を変化させることで、社会行動の異常が改善されるかについて検討を行う。また、自閉症の共通分子経路の候補として、S6Kのドミナントネガティブコンストラクトを同じくIQSEC2ノックアウトマウスの内側前頭前皮質に導入し、社会行動異常が改善されるかを検討する。neuroliign-3自閉症モデルマウスについては、社会行動実験後にc-fosマッピングを行い、社会行動異常の責任神経回路を突き止める。
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Research Products
(5 results)