2021 Fiscal Year Annual Research Report
Induction of neural plasticity by Nogo receptor antagonist LOTUS in aged brain
Publicly Offered Research
Project Area | Inducing lifelong plasticity (iPlasticity) by brain rejuvenation: elucidation and manipulation of critical period mechanisms |
Project/Area Number |
21H05697
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
竹居 光太郎 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (40202163)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | LOTUS / Nogo受容体 / PirB / シナプス形成 / 神経可塑性誘導 / 記憶 / 学修 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は「LOTUS の遺伝的な過剰発現によって加齢に伴う神経可塑性の減弱を防御できるか」について解析した。神経細胞特異的にLOTUSを過剰発現するトランスジェニックマウス(LOTUS-Tg)と野生型マウスの双方を18ヶ月齢まで老齢化させ、生体海馬におけるシナプス密度について若年期(2ヶ月齢)マウスと比較検討した。最初に海馬におけるLOTUS 発現量についてRT-PCR 法及びウエスタンブロッティング法で検討したところ、野生型の老齢化マウスでは若年マウスに比して約30%減少していた。LOTUS-Tgマウスでは野生型マウスに比して約1.8倍のLOTUS発現量を有しているが、老齢化マウスでは野生型マウスと同様に約30%減弱するものの、野生型の若年マウスに比して約1.5倍の発現量を維持していた。そこで、生体海馬におけるシナプス密度を解析するため、シナプス後膜を可視化するThy-1トランスジェニックマウスとLOTUS-Tgマウスの交配によって得られたマウスの生体海馬におけるシナプスを組織学的に解析した。野生型マウスでは老齢化によってシナプス密度が有意に減少するのに対し、LOTUS-Tgマウスは老齢化してもシナプス密度が減少せず、若年の野生型マウスとほぼ同等レベルを示した。更に、社会的認知記憶テストを行った結果、野生型マウスでは老齢化によって記憶障害が起こっていたが、LOTUS-Tgマウスでは記憶障害は起こらなかった。これらの結果から、LOTUS の遺伝的な過剰発現によって加齢に伴う神経可塑性の減弱を防御できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シナプス密度の解析を予想よりも早く終え、次年度に予定していた老齢化マウス個体の記憶・学習能について社会的認知記憶テストを行った。その結果、老齢化したLOTUS過剰発現(LOTUS-Tg)マウスにおける記憶・学習能の維持を見出した。LOTUS-Tgマウスの生体海馬におけるシナプス密度の増加は老齢化しても野生型マウスの若年レベルを維持し、記憶・学習能の維持とよく相関した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては「LOTUSの過剰発現によって若年期の記憶・学習能を維持できるか」を課題として研究を遂行する。18ヶ月齢のマウスにおいて、LOTUS-Tgマウスでは更なる行動解析を行なって記憶・学習能の維持を検証する。一方、老齢化野生型マウスに対してLOTUS発現量を増加させるIL-6を腹腔内投与し、無処置のWTマウスと比較検討する。更に、老齢化野生型マウスの側脳室にLOTUS遺伝子を搭載したアデノ随伴ウイルスを投与して人為的にLOTUSを過剰発現させたマウスを作成してシナプス密度や記憶・学習能の変化を解析する。これらによって、遺伝的、及び誘導的なLOTUS過剰発現によって加齢による記憶・学習能の減退を阻止し、若年期の記憶・学習能を維持することができるかどうかを明らかにする。
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Research Products
(1 results)