2021 Fiscal Year Annual Research Report
分泌系タンパク質の配送における非典型的な翻訳終結反応の分子機構と生理機能の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multifaceted Proteins: Expanding and Transformative Protein World |
Project/Area Number |
21H05710
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 芳隆 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00725252)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | リボソーム / 翻訳停滞 / ユビキチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳の伸長反応は、ペプチド鎖のフォールディングや細胞内小器官への配送などと共役しており、その異常は不良タンパク質の産生に直結する 。細胞はこれを回避するために、異常な翻訳伸長を感知し、強制的に翻訳を終結させる品質管理機構(RQC:Ribosome-mediated Quality Control )を備えている。本研究では、RQCの標的となる内在性異常翻訳の実体を明らかにすべく、分泌系タンパク質の共翻訳的な小胞体膜への配送にお ける非典型的な翻訳終結反応の分子機構とその生理機能の解明を目指す。 分泌系タンパク質の共翻訳的な小胞体膜への配送における非典型的な翻訳終結反応の分子機構とその生理機能の解明を目指し、 SRPの結合によってRQCがキャンセルされる仮説の検証を行った。 テイルアンカー型を除く分泌系タンパク質の大部分は、SRPを介して共翻訳的に小胞体膜へと配送される。その補助機構として、分泌系タンパク質をコードするmRNAには翻訳の一時停止を誘導するレアコドンクラスター(REST)がコードされており、このRESTによってリボソーム同士の衝突が生じていることが証明されている。つまり、RESTで停滞したリボソームはRQCの標的となりえる特徴を有している。一方で、小胞体への 配送に異常がない場合、どのようにしてRQCから逃れているのか?その機構は不明のままであった。 そこで、SRPの結合によってRQCがキャンセルされる仮説の検証するため、翻訳停滞配列とSRPの標的配列の位置を調整したレポーター遺伝子を作製し、SRPの認識後に翻訳を一時停止させることで品質管理機構が誘導されるか調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、分泌系タンパク質の共翻訳的な小胞体膜への配送における非典型的な翻訳終結反応の分子機構とその生理機能の解明を目指し、 SRPの結合によってRQCがキャンセルされる仮説の検証を行った。 その結果、RQCを引き起こす停滞配列を翻訳中のリボソームがSRPによって認識されることでサブユニット解離がキャンセルされる可能性を示す予備的結果を得ることができた。この結果を足がかりにさらなるモデルの検証が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
テイルアンカー型を除く分泌系タンパク質の大部分は、SRPを介して共翻訳的に小胞体膜へと配送されるが、SRPの枯渇条件下では、一部の分泌系タンパク質がミトコンドリアへ誤配送されることが知られている。強制的に翻訳を終結させる品質管理機構(RQC:Ribosome-mediated Quality Control)は、この誤配送を阻止する役割を持つことが最近わかってきたが、品質管理機構の破綻によってミトコンドリアに蓄積される分泌系タンパク質の運命は不明のままである。 そこで今後は、ミトコンドリアに誤配送された分泌系タンパク質の運命についても調べる。
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