2021 Fiscal Year Annual Research Report
Stop codon read-through in vivo
Publicly Offered Research
Project Area | Multifaceted Proteins: Expanding and Transformative Protein World |
Project/Area Number |
21H05713
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市之瀬 敏晴 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20774748)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | ストップコドンリードスルー / タンパク質翻訳制御 / リボソームプロファイリング / トランスジェニックレポーター / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、終止コドンを超えて3’ UTRまで翻訳が継続する「ストップコドンリードスルー」に着目した。同現象は、終止コドン後のアミノ酸配列の進化的保存性などから、機能的生命現象であり、未開拓のタンパク質翻訳制御機構であることが想定されている。先行研究によって、ストップコドンリードスルーは神経系で特に生じやすいことがいくつかの遺伝子について知られているが、その全体像は明らかではなかった。これを明らかにするため、申請者はショウジョウバエの神経細胞をモデルに、ゲノムワイドな翻訳プロファイリングを行った。その結果、神経細胞においてストップコドンリードスルーが生じている遺伝子を数百個単離することに成功した。この遺伝子について、ストップコドンリードスルーによってタンパク質の生理的機能や細胞内局在が変化していることが想定される。そこでトランスジェニックレポーターを用いてリードスルー産物の細胞内局在を可視化した。その結果、複数の遺伝子について、リードスルーによってタンパク質の細胞内分布が大きく変化することが明らかになった。これは、リードスルーによって新たなタンパク質ドメインが付加され、細胞内局在を変化させたと考えられる。これに加え、in slicoタンパク質構造予測を行った。その結果、リードスルーにより天然変性ドメインに富んだアミノ酸配列が付加されることが明らかになった。以上本研究により、ストップコドンリードスルーによって付加されるペプチド配列の全貌と、その生理学的な意義の一端が明らかになったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リードスルーは神経細胞においてよく生じることが知られているが、どの遺伝子で生じるかについての知見は断片的であった。本研究は神経細胞特異的にリボソームプロファイリングを行うことで、神経細胞においてリードスルーが起きている遺伝子をゲノムワイドに同定した。さらに、レポーターによってタンパク質局在変化を明らかにしたことは、その生物学的意義を考察する上で重要な知見であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスジェニック技術を用いて、リードスルーを人工的に引き起こした個体、また、リードスルーを抑制した個体を作成し、その解剖学的特徴の解明と行動学試験を行うことで、ストップコドンリードスルーの生物学的意義がどんなものであるか、直接的に検証したい。
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