2021 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-scale modeling of DNA mechanics
Publicly Offered Research
Project Area | Genome modality: understanding physical properties of the genome |
Project/Area Number |
21H05759
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
坂上 貴洋 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (30512959)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | DNAメカニクス / 階層構造 / 弾性論 / ヌクレオソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
塩基対スケールでのDNA力学物性解明にむけ、DNAモデルの数値シミュレーションと理論解析の両面から研究を行った。まず、全原子シミュレーションから、塩基対ステップでの回転、並進による変形パラメータを抽出し、それらの特徴を定量化した。主要な結果として、(1) 各々の変形自由度の硬さに無視できないスケール依存性が見られること、(2)異なる変形自由度の間に特徴的な相関が存在することを見出した。理論的な方面からは、DNA のような内部構造をもった鎖状の系において、スケール依存した力学物性が現れる物理的メカニズムについて、トイモデルによる考察を行った。また、塩基対スケールのミクロモデルから、段階的に自由度消去のステップを経て、メソスケールでのみみず鎖(Worm-like chain)モデルへと粗視化するための方法論を整理した。これにより、上記のシミュレーションのデータ解析から見出されたDNAの塩基対スケールでの力学特性と、従来から生物物理分野において一分子実験の手法により調べられて来たメソスケールでのDNAの振る舞いとを関係づけるための基本的枠組みが出来たと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全原子シミュレーションの実行と、それに基づいた塩基対スケールでのDNAの変形挙動の定量化は予定通り実行できている。また、塩基対スケールとメソスケールを繋ぐ理論的枠組みについても考察を進め、大きな進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
塩基対スケールとメソスケールを繋ぐ理論的枠組みができつつあるので、実際のシミュレーションデータに適用して、定量的な解析を行う。また、これまで十分に議論されてこなかったスケール依存の硬さ(弾性係数)や異なる変形自由度間の相関効果についてさらに考察を進める。実際のDNA-タンパク質相互作用や、ヌクレオソーム動態についての実験結果とも見比べながら、これらの効果の重要性について理解を深める。
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