2021 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノムの修飾密度と分子内相互作用による転写バースト形成の再構成的理解
Publicly Offered Research
Project Area | Genome modality: understanding physical properties of the genome |
Project/Area Number |
21H05764
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅原 崇史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (20415095)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | 遺伝子 / エピジェネティクス / クロマチン / ヒストン / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヌクレオソームは細胞核内において自己組織化を介して液状または固体状の凝縮体を形成することが示唆されている。このような高次ヌクレオソーム構造の形成・維持・遷移およびその内部に存在する遺伝子の転写にはヒストンのリシン残基のアセチル化などのエピゲノム修飾が駆動力の一端を成すことが知られているが、高次ヌクレオソーム構造においてヒストンのアセチル化修飾が遺伝子転写に果たす意義は定量的に解析されていない。本研究では、ヒストンのリジン残基のアセチル化密度とヌクレオソーム内相互作用を指標として真核生物転写のスイッチ分子機構を再構成的に理解することを目指した。本年度は、ヌクレオソームを基質としてその分子内ヒストンのリシンアセチル化を担うアセチル化酵素p300/CBPと、p300/CBPが結合することが知られているヒストンH4のK12およびK16のアセチル化を含むヌクレオソームを調製し、その複合体の構造・機能解析を行った。p300/CBPとヌクレオソームを複合体化してその複合体の立体構造をクライオ電子顕微鏡で解析した結果、複数の結合様式からなる複合体の構造を取得した。また、H2B, H3, H4のN末端テイルの特定のリシン残基をアセチル化したヌクレオソームを基質として、ヌクレオソームの先行アセチル化の有無によってp300が促進的にアセチル化するヒストンのN末端テイルのリシン残基を検討した。この生化学解析から、ヌクレオソームにおけるヒストンサブユニットのリシンアセチル化の読み書きの順序について予備的な結果を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度行った生化学と構造解析により、研究目的とした真核生物転写のスイッチ分子機構を再構成的に理解する見通しがたったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度行った構造解析によって真核生物転写のスイッチ分子機構を再構成的に理解する見通しがたったことから、クライオ電子顕微鏡による構造解析の分解能を上げることに注力することでヌクレオソーム複合体の原子モデルの立体構造の解明をめざす。
|