2021 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding YUGEN that means the subtle and profound in Noh singing as ambient sound
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world |
Project/Area Number |
21H05816
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
木谷 俊介 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70635367)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 幽玄 / 謡曲 / アンビエント音響 / スペクトル変調 / 時間変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、spectro-temporal modulation(STM, スペクトル・時間変調)に着目し、ヒトが幽玄を知覚する謡曲特有の物理特性を明らかにすることである。本研究では、謡曲のヒトの発声だけに着目するのではなく、舞台空間および能面によるアンビエントの変化にも着目する。これらアンビエントの情報を含んだアンビエント音響たる謡曲であるから幽玄を感じると考える。そこで、声帯および声道の動きと対応するスペクトル変調成分、およびアンビエントの変化に対応する時間変調成分を示すことで、謡曲の幽玄に関わる物理特徴を明らかにする。 初年度の研究実施計画は、舞台および能面を変えて能楽師の謡曲を収録し、収録した音声データをSTM分析することであった。計画通りに、防音室や能舞台、能面といったアンビエントを変えた条件で謡曲を収録した。計画では初年度は一名の能楽師の予定であったが、二名の能楽師の発話データを得ることができた。また、それらの収録データを分析するためのSTM分析を行い、計測条件の違いによってSTM情報が変化することを確認した。また、謡曲と通常発話でのSTM情報の違いについても明らかにできた。これらのSTM情報の変化を基に、今後は幽玄がどのようなSTM情報に現れるのかを明らかにする。 今後は、発話する能楽師の人数を増やすとともに、アマチュアの謡曲も収録し、収録データの拡大を行う。また、ヒトが幽玄を感じる物理特徴を明らかにするために、STM情報に処理を加えた場合に幽玄の感じ方が変わるかどうかを判断させる知覚実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は、舞台および能面を変えて一人の能楽師の謡曲を収録し、収録した音声データをスペクトル・時間変調(Spectro-temporal modulation; STM)分析することであった。初年度は、防音室を含めて三か所の舞台、五つの能面で二人の能楽師の謡曲を収録できた。また、それらの音声データをSTM分析するプログラムを作成できたため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
二人のプロの能楽師に対しての謡曲の収録、収録データのSTM分析ができ、方向性が定まった。そのため、今後は発話者の能楽師の人数を増やし、謡曲の収録を続ける。また、実施計画にしたがい、STMのどのような特徴に謡曲の幽玄が現れるのかを明らかにするために、STM情報の処理を行い、処理によって幽玄の感じ方が変わるかどうかを知覚実験によって確かめる。
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