2021 Fiscal Year Annual Research Report
Singular contact between skin and skin produces pleasant tactile feelings
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world |
Project/Area Number |
21H05819
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡本 正吾 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (10579064)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 触感 / やわらかさ / 摩擦 / 肌 |
Outline of Annual Research Achievements |
物の触感はその表面粗さ,摩擦,硬さなどを主として複合的に決まる.一般に,これらの物理量が小さいほど物の触り心地は良い.しかし,ことが肌となると,触れあう肌と指の関係が重要であると予想される.すなわち,肌の触り心地には相性の問題が存在するのではないかというのが本研究の重要な提案であり,出発点である.申請者はこれまでの研究から,肌と肌の接触においては,特定の条件が成立したときに特異的に触り心地がよくなる,という仮説に至った.具体的には,接触する2つの肌の硬さが近い事である.このとき,摩擦が局小的に低下し,触り心地の良さにつながると予想する.本研究は以上の仮説を実験的に検証し,肌同士の相性が良いときに発生する特異的な接触現象を接触力および光学的計測により明らかにすることを目的とする. 擦り動作時の摩擦と表面特徴(粗さ)がやわらかさ判断に影響する事実を実験的に追究した.硬さが異なる(表面形状・粗さは同じ)7種類の人工肌モデルを用いた.表面は粉体潤滑によって摩擦を操作した.摩擦が低下する潤滑と,摩擦が増加する潤滑の両方を施した.10名の実験参加者が,肌モデルを素手で擦り,その心地よさに得点を付けた.この得点を目的変数として,肌モデルの硬さ・摩擦の特徴量・参加者の指の硬さ(デュロメータで計測)などを説明変数とした重回帰分析を実施した.この結果から,摩擦係数が小さく,硬い肌モデルが,触り心地がよく感じられることが統計的に示された.さらに,参加者の指の硬さと人工肌モデルの硬さの差が小さいほど,擦ったときに心地よく感じられることが明らかになった.すなわち,肌(モデル)の触り心地は,触れられる対象となる肌の物性のみによって決まらない.触れる人の肌の特性にも影響する.肌の触り心地の良さは,肌同士の相性によって決定する部分があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験を完了し,統計解析によって,仮説に概ね符合した結果が得られた.すなわち,肌の触り心地の良さは,触れられる肌の摩擦・硬さなどの特性のみによって決まらない.触れる側の指の特性にも依拠する.具体的には,触れる側と触れられる側の肌の硬さが近しいことが肌の触り心地の良さを一部,決定していることが明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,肌モデル以外の触察対象へと実験を拡大していく.具体的には,表面粗さと形状がコントロールされた樹脂面を対象に実験を進める.摩擦の制御によって,同じ硬さ(弾性係数)の樹脂面でも異なった硬さに感じられることがあると仮説立てているが,それを実験によって示していく.
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