2021 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータグラフィクスによる質感表現の深化
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world |
Project/Area Number |
21H05826
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
岩崎 慶 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (90379610)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | レンダリング / 微分可能レンダリング / スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
コンピュータグラフィックスによる材質表現を深化させるための基盤技術の開発を行う. 「ものづくり」に必要となるデザインソフトウェアや,映画・CMといった映像制作などのアプリケーションでは,描画対象の質感をCGで正確に表現する必要がある. 近年のCG技術の発達に伴い,現実世界の様々な材質を表現可能な,Bidirectional Reflectance Distribution Function (BRDF)モデルやBidirectional Curve Scattering Distribution Function(BCSDF)モデルといったパラメトリックモデルが提案されている.これらのモデルを用いて写実的な質感を表現するためには複数のパラメータを設定する必要がある.所望の材質を表現しようとすると,ユーザによるパラメータ調整が必要となり,多大な負担となる.本研究では,微分可能レンダリングを用いたパラメータ推定による,CG表現の深化を目指す.具体的には,以下の項目を行なった. 1. 波長を考慮して現実の材質の反射率を計測した,計測スペクトラルBRDFを微分可能モデルで表現 2. 微分可能レンダリングを用いた質感パラメータの推定 1では,オートエンコーダを用いて計測スペクトラルBRDFを表現する手法の開発を行なった.実験の結果,鏡面反射成分が支配的な材質については低次元の潜在変数で精度良く表現することが可能であった.2では,髪の毛・毛皮の光学的パラメータ(コルテックス層の光の減衰率やキューティクルの傾き等)を逆問題的に求める手法の開発を行なった.髪の毛・毛皮に特化した,微分可能レンダラ(パストレーサ)を実装した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計測スペクトラルBRDFを微分可能なモデルで表現するために,オートエンコーダとして表現する手法を試みた.計測スペクトラルBRDFの問題点として,計測されたデータ数が少なく,1つの計測データの次元が(MERL BRDFの様なRGB三成分のみのデータと比較して)高次元であることが挙げられる.本研究では,計測スペクトラルBRDFの入射方向と反射方向の方位角の差角ごとにニューラルネットワークを学習させることで学習データを増やすことを試みた.実験の結果,鏡面反射成分が支配的な材質については,5次元の潜在変数でも精度良く表現することができた.しかしながら,拡散反射成分が支配的な材質については,復元結果の誤差が大きいという問題がある. 微分可能レンダリングに関して,髪の毛・毛皮のCG画像から髪の毛・毛皮のパラメータを推定する手法の開発を行なった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.計測スペクトラルBRDFを微分可能なモデルで表現するためのパラメトリックモデルの開発 引き続きニューラルネットワークによる計測スペクトラルBRDFの表現方法を進める.教師データ数が少なくても学習できるモデルを調査するか,計測データの拡張を試みる.また,Cook-Torrance BRDFなどの解析モデルへのフィッティングも試みる.
2. 微分可能レンダリングを用いた,髪の毛や毛皮の光学的パラメータの推定法をさらに拡張する. 現状,髪の毛や毛皮の毛の形状と照明が既知であるという前提のもとパラメータの推定を行なっている.そのため,毛の形状が未知であってもパラメータを推定できるように手法を拡張する.具体的には,画像全体の輝度値のヒストグラムから損失関数を求めることで,毛の形状が未知であっても頑健にパラメータを推定する手法の開発を目指す.
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