2021 Fiscal Year Annual Research Report
強指数時間仮説に基づく計算限界の理解と探究
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Organization of Innovative Algorithmic Foundations for Leading Social Innovations |
Project/Area Number |
21H05839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脊戸 和寿 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (20584056)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 強指数時間仮説 / 充足可能性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は強指数時間仮説の知見を深め、将来的に仮説の否定につなげるための研究を遂行することである。そのため、2021年度は既存研究の調査を行い、強指数時間仮説下における計算限界の結果をまとめることを目標とした。既存研究の調査は概ね終了したが、全体を手軽に参照できる形でまとめることはできていない。調査の過程で、強指数時間仮説よりも強い仮説(Super Strong Exponential Time Hypothesis:SSETH)について調査を進めることがあり、この仮説を否定することが直近の目標になることを確認した。 SSETH とは節内の変数の数が高々、k 個に制限された和積標準形論理式の充足可能性問題において、既存の最速アルゴリズムの計算時間より真に高速なアルゴリズムは存在しないという仮説である。これは強指数時間仮説よりもかなり強い仮説であり、これをまず否定するために新たなアルゴリズム設計を行うことが重要であると考え、SSETH に関する研究を実施したが、既存アルゴリズムの計算時間の改良には至らなかった。しかし、既存の最速アルゴリズムが苦手なインスタンス集合に対しては、別のアプローチで高速に解けることがわかった。 また、充足可能性判定アルゴリズムの設計技法の理解のために、幅2分岐プログラムの充足可能性判定アルゴリズムの設計を試みた。その結果、幅2分岐プログラムのノード数が入力変数の個数の線形個であれば、全探索よりも指数的に高速なアルゴリズムを設計することができた。さらなる高速化の手法への検討も既に行なっており、別の充足可能性判定問題を解く必要があることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年は既存研究の調査とそれらをまとめることを1つの目標としていたが、調査に関しては十分にできたが、それらを誰もが参照しやすい形でまとめるところまでは至らなかった。しかし、強指数時間仮説の否定に向けて、まず解決すべき別の仮説に取り組む研究を実施しはじめたことは、研究を進展させていく方向に進んでいると考えられる。この2つの結果を踏まえて、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
強指数時間仮説よりも強い仮説の存在から、まずはその仮説を否定することが必要であると考えられる。そのため、節内の変数が高々、k 個に制限された和積標準形論理式における充足可能性問題の既存アルゴリズムの計算時間を改良することが、現時点での最も重要な目標となる。既存アルゴリズムの限界を示唆するインスタンス集合はすでに見つかっているが、それらは別のアルゴリズムで簡単にとくことができるため、よいハイブリッドアルゴリズムを設計することができれば改良の可能性もあると考えられる。 この目標を達成するため、プロジェクトのメンバーやプロジェクト外の研究者とより多くの議論を今年度は行なっていくことを計画している。
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Research Products
(1 results)