2021 Fiscal Year Annual Research Report
分散計算における細粒度設計抽象化技法の創出とその応用
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Organization of Innovative Algorithmic Foundations for Leading Social Innovations |
Project/Area Number |
21H05854
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
泉 泰介 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (20432461)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 分散アルゴリズム / グラフアルゴリズム / 自己安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
多数の計算機を相互接続した分散システムにおける近年の新たなシステムパラダイムの勃興にともない、その上で動作するアルゴリズムの設計において、単純なネットワーク制御の枠組みにとどまらない、よりアプリケーション指向のアルゴリズム設計が求められつつある。このような現状において、高位のレイヤにおける分散型アプリケーション開発のための基盤となる、高度に抽象化された分散アルゴリズムの充実が求められる。本研究では、申請者が主に取り組んでいる(分散)グラフアルゴリズムの研究領域を対象とした、適切な粒度での抽象化に基づいた、利用容易性と高効率性の両立を目指した分散アルゴリズム設計基盤の創出を目指す。令和3年度においては,主に以下の2点について研究を行った. (1) 分散システム上での最短経路問題の求解手法について着目した.特に,通常の最短経路でなく,何らかの与えられた制約を満たすような経路のうち最短であるようなものを発見する問題(制約付き最短路発見問題)について,分散システム上で効率的に求解可能であるような制約のクラスを定式化するとともに,それに対応するアルゴリズムを設計した. (2) 確率的リンク故障下における,アルゴリズムの緩安定化可能性について研究を実施した.自己安定アルゴリズムは,任意の一時故障状況からの自動復帰を達成可能なアルゴリズムであるが,故障によるメッセージの汚染が永続的に生じる環境においては,一般にはその実現は困難である.そのため,本研究では,緩安定性と呼ばれる,自己安定性を緩和した性能保証を達成するアルゴリズムを実現する手法に注目した.具体的な成果としては,永続的なメッセージの故障を確率的にモデル化したうえで,緩安定アルゴリズムを実現するための構造化された手法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果創出の点に関してはほぼ当初の計画通りに遂行されている.新型コロナウィルスの影響等により,2021年度の範囲においては当初計画されていた海外学会発表,ならびに海外共同研究者との打ち合わせ等が滞った点についてやや遅れが生じていたが,上述(1),(2)等の成果については最終的には2022年度にまたがる形で発表,刊行に至ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては,主に分散計算の汎用的な技法深化を中心として研究を遂行したが,次年度以降は,当初計画における大きな目標の一つである,逐次計算における基本的技法の効率的な分散化について,さらなる進展を目指して研究を遂行していく.特に,当初計画されていた,海外研究者との連携を強く推し進めていくことを企図していく.
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