2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of synthetic molecular transducers that mimic the functions of natural membrane receptors
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Cybernetics -Development of Minimal Artificial Brain by the Power of Chemistry |
Project/Area Number |
21H05872
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 浩平 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40825197)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 生体膜 / 細胞表面受容体 / 両親媒性分子 / 有機化学 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、細胞表面受容体タンパク質の一種である、酵素連結型受容体の構造と機能を模倣した人工分子トランスデューサーの合成および、その生体膜内部への導入法に関する検討を重点的に行った。薗頭カップリング反応により生体膜貫通部位を合成した後、ウィリアムソンエーテル合成によってオクタエチレングリコール鎖を導入した。その末端に、シグナル伝達部位としてカチオン性のアミノ基およびグアニジノ基を導入したのち、最後にホスホロアミダイト法により生体膜貫通部位にリン酸基を連結させることで、二種類の酵素連結型受容体模倣型人工分子トランスデューサーを合成した。得られた人工分子トランスデューサーは、核磁気共鳴スペクトルおよび高分解能質量分析よって構造の同定を行った。 次に、合成した人工分子トランスデューサーを生体膜に導入するための条件検討を行った。ここでは、生体膜の人工モデルとしてリン脂質DOPCからなるリポソームを用い、人工分子トランスデューサーの膜内部への導入については、生体膜貫通部位の光学特性を利用した蛍光顕微鏡観察によって評価した。当初は既報に従い、作製したDOPCリポソーム分散液に対して人工分子トランスデューサーを外部から加えていたものの、膜内部への導入は認められなかった。様々な検討の結果、リン脂質のメタノール溶液に人工分子トランスデューサーを添加し、時間をかけて溶媒を蒸発させることで薄膜を形成させたのち、HEPESバッファーを加えて水和させることで、人工分子トランスデューサーを膜内部に導入することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に設計した通りの酵素連結型受容体模倣型人工分子トランスデューサーを合成し、それらを生体膜の内部へと導入することにも成功しており、次年度の研究基盤を確立させることができたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、酵素連結型受容体模倣型人工分子トランスデューサーを導入した脂質リポソームに対して、外部からリガンド分子を導入することで、膜内部における人工分子トランスデューサーの自己集合挙動を検討する。さらに、脂質リポソームの内部にアニオン性の生体高分子を導入し、生体膜を介したシグナル伝達のモデルシステム構築を目指す。
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