2021 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞膜プローブによる分子回路診断システム
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Cybernetics -Development of Minimal Artificial Brain by the Power of Chemistry |
Project/Area Number |
21H05874
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
庄司 観 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任講師 (80788258)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 人工細胞膜 / ナノポアセンシング / 電気化学DNAセンサ / 分子サイバネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子回路の診断プローブの開発を目指し、電気化学DNAセンサの機能を有するマイクロ電極上に人工細胞膜を形成した新たなDNA検出プローブの開発を目指している。本プローブでは、人工細胞膜に再構築した生体ナノポアや分子トランスデューサーを介して、分子回路内に存在するDNA分子を取込み、電気化学DNAセンサで取り込んだ分子を評価する。本診断プローブの開発には、マイクロ電極の設計指針の確立、プローブの作製方法・操作手法の確立、そして、分子検出性能の評価が必要である。本年度は、プローブの設計指針の確立および電極の作製方法・操作方法の確立に取り組んだ。 1. プローブの設計指針の確立:本プローブは、マイクロ電極上に微小なハイドロゲルを形成することで作製されるため、電極上のハイドロゲルサイズおよび種類が非常に重要である。そこで、ハイドロゲルサイズや種類がナノポアセンシングに与える影響について調査した。その結果、体積が200pL以上の場合ナノポアセンシングに影響しないことが分かり、また、ゲルの種類に関してもアガロースゲルであれば、ナノポアセンシング可能であることが分かった。 2. 電極の作製方法:マイクロ電極は、クロスシータ管を用いた4電極式マイクロ電極の作製方法を確立し、直径100μm程度の微小電極を作製することに成功した。 3. プローブ操作方法:プローブ操作方法としては、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡システムを自作し、本プローブの操作方法への応用を試みた。その結果、人工細胞膜を先端に形成したマイクロ電極を用いて局所的なDNA分子を検出することに成功し、本操作システムの有用性を示すことができた。 以上のように本年度は、プローブの設計指針、電極作製方法、操作方法について確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、人工細胞膜プローブの設計指針を確立し、さらにその作製方法・操作方法に関して検討した。以上の結果より、人工細胞膜プローブを用いた分子回路診断システム開発の可能性を示すことができ、研究計画書通りの進展が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、まずマイクロ電極上へのハイドロゲル形成方法を検討し、本人工細胞膜プローブの作製技術を確立する。さらに、電気化学DNAセンサに関して、本プローブに搭載した際の分子検出性能の評価を実施する。その後、実際にハイドロゲル表面に人工細胞膜を形成し、分子検出実験を行うことで、分子検出までの時間・検出限界濃度を評価し本プローブの有用性を実証する。さらに、計画班との共同研究により、人工分子トランスデューサーを人工細胞膜に再構築し、分子回路診断システムとしての応用を実証する。また、分子検出感度が、分子回路診断システムとしての要求性能よりも低い場合は、等温増幅システムを導入し、少数の分子から検出可能なシステムの確立を目指す。
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