2010 Fiscal Year Annual Research Report
大面積ガス電子増幅光検出器の基礎研究
Publicly Offered Research
Project Area | New Developments of Flavor Physics |
Project/Area Number |
22011002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (90402768)
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Keywords | 素粒子実験 / 光検出器 / ガス検出 |
Research Abstract |
本年度は主に、放射線検出効率向上のために、ガス検出器内部でのCsI光電面からの電子が最も効率的に取得できるような電場構造の最適化を行った。開発中の検出器はμPIC(10×10cm2)と2枚のGEMを組み合わせて、フォトンフィードバックやイオンフィードバックを抑えるような構造にすることができるが、重水素ランプからの光を照射して全ステージで直接電流値を測定することで、高ゲインでの電子増幅の実現と光電子収集効率の両立を目指した。透過型光電面では、ドリフト面(光電面)と初段GEM上面間(ドリフト領域)の電場を変化させてゆくと、おおよそ0.1kV/cmからドリフト面の電流が0からマイナスに転じた。このことからイオンフィードバックが顕著に発生したことが分かった。一方、電場を弱くすると、μPICアノードに流れる電流が小さく、電子の収集効率が下がることが分かった。これらのことから、ドリフト電場の最適な値0.25kV/cmとした。同様に、GEMの間の電場およびGEMとμPICアノードの間の電場についても電場依存性を測定し、それぞれ1kV/cmおよび3kV/cmを最適値とした。また、反射型光電面についても実験を行ったが、透過型光電面とほぼ同じパラメータ最適化できることが分かった。ただし、ドリフト電場を大きくしても、ドリフト電流は大きくならなかった。これは初段GEM上面が光電面であるため、反射型光電面の方が、透過型光電面にくらべ、イオンフィードバックによる影響を受けにくいということを示唆していると思われ、今後の開発でイオンの流れを詳細に調査していきたい。反射型光電面での最適化した電場によって、真空紫外光を出すシンチレーターと組み合わせた放射線検出効率が従来の2.8になることが確認できた。
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