2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド検出器を用いるルミノシティモニターの開発研究
Publicly Offered Research
Project Area | New Developments of Flavor Physics |
Project/Area Number |
22011006
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山本 和弘 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80303808)
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Keywords | 素粒子(実験) / 粒子測定技術 |
Research Abstract |
茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCのT2Kニュートリノビームラインに、ダイヤモンド検出器をテストのために設置した。検出器の構造は、4mm×4mm×0.5mmの単結晶CVDダイヤモンドチップの両面に金でメタライズを施して電極にしたもので、これを放射線耐性が高いPEEK樹脂にマウントした。また信号読み出し用のケーブルにも、放射線耐性を高めるためにポリイミド樹脂で被覆された導線を用いた。検出器を設置した場所は、ニュートリノビームラインのミューオンモニターが設置されている場所で、1台のシリコンPINフォトダイオードの背面に取り付けた。これにより、ダイヤモンド検出器とシリコンPINフォトダイオードにはほぼ同じミューオンが通ることになるので、シリコンPINフォトダイオードの信号を参照として比較が出来るようになった。また、この場所はビームダンプの下流であるので、ミューオン以外の荷電粒子は通らない。T2K実験の運転条件は、主リングの陽子エネルギー:30GeV、スピル周期:3.5秒、バンチ数:6、バンチ間隔:581ns、バンチ幅:58nsであった。平均強度は約50kWほどであった。これによってミューオンはおよそ10^7個/spill・cm^2の強度になる。検出器に印加するバイアスは200Vで、出力信号はFADC(65MHz)によって読みだされた。まず、FADCでとられた信号の波形を見てみると、スピルの6バンチ構造がはっきりと見え、約580ns離れた隣のバンチにもほとんどテールの浸み込みが見られなかった。これにより、ダイヤモンドの信号応答の速さが改めて確認された。次に、ミューオンの照射量と信号の大きさの線型性を調べたところ、シリコンPINフォトダイオードと比べて1%程度の非線形性しか見られなかった。さらに6か月間においてダイヤモンドとシリコンの信号の強度比を見たところ、(標準偏差)/(平均値)の変動が0.75%しか見られず、高い安定性を示した。
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Research Products
(2 results)