2010 Fiscal Year Annual Research Report
将来のCP対称性の測定に向けた新しいビーム強度測定器の開発
Publicly Offered Research
Project Area | New Developments of Flavor Physics |
Project/Area Number |
22011011
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
坂下 健 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50435616)
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Keywords | ニュートリノ振動実験 / CP対称性の破れ / 強度検出器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、T2K実験(当該領域:A04)を発展させた将来の実験において、「ニュートリノでの粒子・反粒子対称性(CP対称性)の破れ」の発見感度の向上である。本研究では、将来のCP対称性の破れの測定実験に向けて、新しいビーム強度測定器の開発を行い、T2K実験でニュートリノ(反ニュートリノ)ビーム中の反ニュートリノ(ニュートリノ)の割合を間接的に測定して、これまでのハドロン生成分布の測定結果と合わせてニュートリノや反ニュートリノビームの組成の違いを小さな不定性で求める事で目的の達成を目指す。 今年度は、まずモンテカルロ法を用いたニュートリノビームのシミュレーションをもちいて、測定器を置く位置での荷電粒子の数や種類の割合などを見積もった。その結果、検出器の置く位置によって、検出器よりビーム上流位置の物質とビームとの相互作用からのδ電子の寄与が大きい事が分かった。このスタディをもとに検出器の位置の最適化を行い、δ電子の影響を小さく抑え、検出器の設計検討を行った。検出器を設置する場所は、大強度ニュートリノビームラインのミューオンピットと呼ばれるビームライン下流に位置するところであり、運転中は強い放射線環境となる。そのため、コネクタやケーブルを耐放射線のものを使用した。測定装置の製作のあと、ビームラインへの設置、測定を行う予定であったが、実験を考えていたニュートリノビームラインの機器故障により測定が行えなかった。 一方で、使用を考えているニュートリノビームラインのニュートリノビーム生成についての研究をすすめて、ビーム生成の理解を深めた。この結果は、研究発表の論文にまとめて発表している。
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