2011 Fiscal Year Annual Research Report
ディープサーベイデータを用いた移動天体の探査
Publicly Offered Research
Project Area | Probing the Dark Energy through an Extremely Wide & Deep Survey with Subaru Telescope |
Project/Area Number |
22012001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 直樹 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 教授 (80333277)
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Keywords | 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 / 天文 |
Research Abstract |
本研究の目的は、銀河系ディスクの年齢決定や銀河系ダークマターハローの成分として注目されている白色倭星や銀河系の構造的、化学的進化を調べる上で重要な準矮星などの銀河系ハローに存在する低質量で暗い星を、その運動速度が高速(~100km/s)であることを利用して、移動天体として発見し、銀河系の構造を調べようというものである。近傍に関してはSDSSなどのサーベイで調べられているが、大望遠鏡が必要となるより遠方の天体については十分に調べられていない。将来的なHSCによるサーベイを念頭に置き、その解析システムを構築するとともに、既存のSuprime-Camによるディープサーベイのデータに暗い移動天体の発見アルゴリズムを適用することを計画した。 解析システムのフレームワークはプリンストン大学が中心に開発しているLSST(Large Synoptic Survey Telescope)の解析システムと共通化し、HSCあるいはSuprime-Camに特有な処理を日本側が中心に開発している。ディープサーベイのデータを解析するには多数の空の同じ領域の画像のフラックス較正、位置較正を行なって、互いに正しく重ね合わせられるようにする必要があり、その部分を中心に申請者は開発を行なった。HSCのシミュレーションデータだけでなく、Suprime-Camの実際のデータでも安定して解析できるように細かいアルゴリズムの調整などを行ない、フラックスの精度は相対値で数%、位置の精度は相対値で10mas程度で安定した結果が得られることが分かった。絶対的な構成は既存のカタログと比較する必要があり、カタログの精度も影響するために、位置精度は30mas程度となるが、本研究では相対値の精度が重要である。 科学的成果を得るためには申請者が開発した部分も含めて、システムとしての解析プログラムを構築する必要があり、そのための調整がさらに必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析プログラムはプリンストン大学が開発してるLSSTパイプラインをフレームワークとして採用しているが、その開発の進展による各種変更に日本側で十分対応することができず、開発が遅れる傾向があった。
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Strategy for Future Research Activity |
HSC解析プログラムのフレームワークである、LSSTパイプラインの部分については、今後数年大きな変更は加えずに開発を進めるようにプリンストン大学と合意したので、今後は日本側独自の開発に専念できるようになる。今年度HSCの実観測も開始されるので、そのデータなどでも解析プログラムのチェックを行ない、科学的成果が出せるように努力したい。
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Research Products
(2 results)