2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホモマテリアルヘテロ界面の周期配列制御によるメタマテリアルの創製
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013006
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 淳 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (50277836)
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Keywords | 超格子 / ヘテロ界面 / バンド不連続 / 第一原理計算 / 局所誘電率 / ポリタイプ |
Research Abstract |
本研究は、(1)人工的に制御された「ホモマテリアルヘテロ界面」構造を利用したヘテロ界面の基礎物理モデルの構築と、(2)その周期配列制御によるメタマテリアルの創製、を目論むものである。すなわち、本質的に界面の格子不整合を含まない同物質の異結晶形ヘテロ構造を利用して、新たなメタマテリアルの創製とそのヘテロ構造デバイスへの応用の可能性を探る。対象として多くの結晶多形を持つ物質である半導体窒化ホウ素(BN)にスポットを当て、その「ホモマテリアルヘテロ界面」の電子状態を明らかにすることを目的としている。本年度は、密度汎関数理論に基づく第一原理計算を用いてBNの結晶多形超格子の電子状態計算を行った。用いた結晶多形は、立方晶系(閃亜鉛鉱構造)の3C-BN、および六方晶系の2H-BN(ウルツ鉱構造)、4H-BN、および6H-BNである。まず、それぞれのバルク結晶の構造安定性を調べたところ、3C構造が最も安定で、6H(+9.64meV/BN;3C構造をエネルギーの基準としている)、4H(+14.8meV/BN)、2H(+35.5meV/BN)の順にエネルギーが高くなった。いわゆるHexagonality(3Cは0%で2Hは100%)に概ね比例してエネルギーが増大している。一方、エネルギーギャップは4.52eV(3C)、5.25eV(6H)、5.58eV(4H)、5.28eV(2H)となった。本研究では、最も安定な3C構造を基準に、3C-BN結晶とnH-BN結晶(n=2,4,6)のヘテロ構造(超格子構造)を考えた。3C/nHタイプの超格子(n=2,4,6)はタイプIIの超格子(電子と正孔の井戸層が異なる)であること、六方晶型積層を多く含んでいる超格子ほど大きな価電子帯バンドオフセットを持つことがわかった。また、井戸層の波動関数の障壁層への侵入長を調べると価電子帯バンドオフセットの大きさと相関していることが示された。
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