2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホモマテリアルヘテロ界面の周期配列制御によるメタマテリアルの創製
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013006
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 淳 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (50277836)
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Keywords | 超格子 / ヘテロ界面 / バンド不連続 / 第一原理計算 / 局所誘電率 / ポリタイプ |
Research Abstract |
本研究は、(1)人工的に制御された「ホモマテリアルヘテロ界面」構造を利用したヘテロ界面の基礎物理モデルの構築と、(2)その周期配列制御によるメタマテリアルの創製、を目論むものである。すなわち、本質的に界面の格子不整合を含まない同物質の異結晶形ヘテロ構造を利用して、新たなメタマテリアルの創製とそのヘテロ構造デバイスへの応用の可能性を探る。昨年までにとりあげた窒化ホウ素(BN)に加え、本年はIV-IV族化合物半導体として最も典型的な物質で、ワイドバンドギャップ半導体として応用上も非常に重要な炭化ケイ素(SiC)、およびポストスケール世代の半導体材料として注目されるSiGe混晶を対象として、その「ホモマテリアルヘテロ界面」の電子状態を評価した。密度汎関数理論に基づく第一原理計算を用いて結晶多形超格子の電子状態計算を行った。用いた結晶多形は、立方晶系(閃亜鉛鉱構造)の3C、および六方晶系の2H(ウルツ鉱構造)、4H、および6Hである。本研究では3C/nHタイプの超格子(n=2,4,6)を考えた。SiCやSiGeのようなIV-IV族半導体および昨年評価を行ったBNのようなIII-V族化合物半導体の超格子はいずれもタイプIIの超格子となり、一方IV族単体半導体同士のヘテロ界面を用いるといずれもタイプIの超格子となることがわかった。化合物であるか単体であるかによって超格子のタイプが異なるのは、そのバンドダイヤグラムから理解可能であることが示された。また、各超格子について局所誘電率(屈折率)の空間プロファイルを評価したところ、界面近傍における誘電率の変化領域は原子レベル(高々2から3原子層以内)であることがわかった。ホモマテリアルヘテロ界面を用いることによって、急峻な界面特性を持つ超格子を作製可能であることが理論的に示された。
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