2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス元素化合物の超高圧超高温領域における新物質・新結晶の創製
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 健 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40509030)
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Keywords | ユビキタス元素 / 超高温高圧 / 超臨界流体 / 結晶成長 / 微細組織 |
Research Abstract |
初年度は,超高圧高温合成に最適な高圧実験装置の開発および改良と合成実験に着手した.本研究では高圧合成装置としてレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルの他に,大容量の試料が確保でき温度圧力条件が制御可能なマルチアンビルプレスを用いた実験もおこなった.合成ではユビキタス元素のなかでも軽元素化合物に着目した. 大型のプレスを用いた合成実験では,超硬材料として有用なボロン酸化物への他元素ドープを試みた.装置の不具合などで元素をドープして物性を評価するまでには至らなかったが,ドープ前の良質なボロン酸化物を得ることに成功した.今後,ドープ実験をおこないバルクの焼結体を用いて熱電特性を明らかにする予定である.また,レーザー加熱式ダイアヤモンドアンビルセルを用いた合成実験では,30GPa,3000Kの極限条件下においてC-N-H系有機物質を出発にした有機無機変換により,新しい結晶質のC-N(-H)系物質の合成に成功した.C-N系物質は理論的にダイヤモンドを凌ぐ超硬物質であるといわれているが,実際に合成された例は非常に少ない.本研究から15GPa以下の低圧では分解・炭化してしまうが,30GPaでは新しい結晶相として合成可能であることがわかった.また,全く新しい結晶性のC-N系化合物を合成するには30GPaを超えるような超高圧高温環境が必要であることもわかり,合成プロセスの指針を示すことができた.今後,X線データの詳細な解析やナノSIMSを用いた微小領域における組成分析,ラマン散乱測定や電子線エネルギー損失分光法を用いた分析から原子の結合様式を明らかにしていく予定である.
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Research Products
(17 results)