2010 Fiscal Year Annual Research Report
強相関カゴ状希土類化合物の電子状態の研究
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本多 史憲 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90391268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助教 (90260629)
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Keywords | 固体物性・実験 / 強相関電子系 / 重い電子系超伝導 / 高圧物性 / 量子臨界点 / カゴ状希土類化合物 |
Research Abstract |
カゴ状の結晶構造をもつRT_2Zn_<20>(R:希土類またはアクチナイド、T:遷移金属)化合物は磁性や重い電子状態、超伝導など多彩な電子物性を示す。なかでも数J/mol K^2に及ぶ巨大な電子比熱係数をもつYbT_2Zn_<20>(T:Co,Rh,Ir)の量子臨界状態における物性に着目し、これらの化合物の高圧下における電気抵抗、またYbCo_2Zn_<20>については高圧下におけるAC帯磁率,ドハース・ファンアルフェン効果の測定などを行った.YbIr_2Zn_2は常圧で重い電子状態を示すが、5.2GPaの圧力下では量子臨界点となり、450m_0にも及ぶ巨大な電子のサイクロトロン有効質量を示すこと見いだした。さらに圧力を加えると7.5GPaにおいて反強磁性の発現によると考えられる磁気抵抗の異常がT_N=1.4K以下で見いだされ,8.7GPaではT_N=1.6Kとなった.これは圧力下でYbIr_2Zn_<20>の電子状態が遍歴的な重い電子状態から局在的な磁気秩序状態に移り変わることを示している.5.0GPa、5.5GPaでそれぞれ50mKまでの電気抵抗を詳細に調べたが、量子臨界点で期待される超伝導は観測されていない。Yb化合物以外にも、異なる希土類によるRIr_2Zn_<20>やUT_2Zn_<20>(T:Co,Rh,Ir)単結晶も育成し、電子状態を詳しく調べている。PrIr_2Zn_<20>で4f電子による重い電子形成が示唆されていたが、我々のドハース・ファンアルフェン効果測定により、サイクロトロン有効質量はそれほど大きくなく、4f電子による重い電子状態ではないことがわかった。また、準結晶の近似化合物RCd_6(R:希土類)の単結晶育成も行い、格子を形成するCd4面体の方向が揃う規則一不規則転移に伴う構造相転移や磁性の研究を進めている。規則-不規則転移の有無が輸送特性に及ぼす影響など興味深い結果が得られている。
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