2010 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族炭化水素系物質の配列空間を利用した超伝導探索
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013012
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神戸 高志 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (00277386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保園 芳博 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80221935)
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Keywords | 芳香族炭化水素 / 化学ドーピング / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究では、芳香族多環結合炭化水素系へ化学的なドーピングを行い、半導体から金属化、超伝導相への転移といった新規な電子相を実現することを目的とし、以下のことを期間内に達成することを目標とした。 ピセンへのアルカリ金属原子のインターカーレーションによる化学的なドーピングを行い、高い超伝導フラクションのバルク超伝導を実現する。また、キャリア量と物性との相図を確立し、特に超伝導相に最適なドーピング条件を見いだす。続いて、ピセン超伝導体に関する知見を生かし、他の芳香族炭化水素系へのキャリアドーピングを行い、新規な電子相を開拓する。これは、芳香族炭化水素分子系における基礎学理を構築するために重要である。 本年度は、超伝導転移が確認されているピセンを中心に研究を進め、新たにコロネンへのキャリアドーピングを試みた。試料合成では、フラーレン化合物の合成において蓄積したノウハウを生かし、固相反応のほかに溶液プロセスを行った。 1.溶液プロセスを用いた低温合成法による選択的超伝導体の合成 この方法では、アンモニアやモノメチルアミンなどの分子を用いて空間を拡張し、より効果的に金属原子をインターカーレーションすることができる。カリウムをドーブしたピセン超伝導体では、Tcが7Kと18Kの2つの相が得られているが、異なるTcを生む要因が特定されていない。これを明らかにするためには、Tcの異なる相を仕分ける必要がある。モノメチルアミンを用いた低温合成では、18Kの超伝導相が効率よく合成できることを見出した。 2.ピセン以外の芳香族炭化水素分子系へのアルカリ金属原子のドーピングによる電子状態の制御 芳香族炭化水素分子コロネンやフェナンスレンに対して、カリウムのドーピングを行い、金属相を得ることに成功した。特に、コロネンではフラクションは低いものの超伝導転移を示す相が存在することも見出した。
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Research Products
(22 results)