2010 Fiscal Year Annual Research Report
準静水圧下での構造変化測定による配列ナノ空間物質の特異な物性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013021
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中野 智志 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質萌芽ラボ, 主幹研究員 (50343869)
|
Keywords | クラスレート / 超高圧 / 静水圧 / ヘリウム |
Research Abstract |
本研究は、異方性のある配列ナノ空間が静的圧力に対してどのような圧力応答を起こすのか、ヘリウム圧力媒体による準静水圧環境で構造・物性変化の詳細を明らかにすることにより、配列ナノ空間物質の特異な物性発現のメカニズムを解明することを目的としている。対象物質はB_<12>クラスター化合物およびSi,Geクラスレートなどの軽元素配列ナノ空間物質とし、ダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)とヘリウム圧力媒体を用いて、高圧X線回折と高圧ラマン散乱により構造変化を詳細に測定し、これら配列ナノ空間物質が示す特異な物性との関係を明らかにする。2010年度は、III型構造GeクラスレートBa_<24>Ge_<100>について、低温下における電気伝導度変化と構造変化との関係を明らかにする実験を行った。 低温高圧実験用のダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)としてガス駆動クランプセルを導入し、これに試料とヘリウムガスを充填し、クライオスタットのチャンバー内に取付けて、KEK-PFの高圧DACビームラインBL-18Cにおいて低温高圧粉末X線回折測定を行った。その結果、電気伝導度変化が起こる温度領域(100-200K)で、構造不変のまま、格子定数の膨張があることが確認された。この構造変化の詳細を明らかにするために、Baイオンのラットリング挙動について、得られた回折パターンから構造解析を行っているところである。しかし、2GPa程度の高圧下においては、低温下での圧力コントロールが困難で、微妙な格子定数変化を観測することはできなかった。また、Ba_<24>Ge_<100>のラマン散乱測定については、ラマン散乱スペクトルの入射レーザー強度依存性が確認されたので、その効果を調べた。その結果、特にBaイオンの振動ピークがレーザー強度上昇とともに顕著に低波数シフトすることが明らかとなった。
|
Research Products
(13 results)