2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱による配列ナノ空間物質の構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science Using Regulated Nano Spaces -Strategy in Ubiquitous Elements |
Project/Area Number |
22013022
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
金子 耕士 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30370381)
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Keywords | 物性実験 / 量子ビーム / 強相関電子系 / 低温物性 / ラットリング / 配列ナノ空間物質 |
Research Abstract |
配列ナノ空間をもつ物質において内包イオンが示す巨大振幅振動について、単中性子構造解析を中心に、その詳細な描像及び物性との関連をにより明らかにすることを目指し、研究を進めた。今年度は、これまでに研究を行ってきたスクッテルダイト化合物に加え、新たにI型クラスレート化合物Ba_8Ga_<16>Sn_<30>及びβ-パイロクロア化合物CsOs_2O_6について実験を行った。まずBa_8Ga_<16>Sn_<30>について、単結晶中性子回折及びマキシマムエントロピー法を用いた解析の結果、Ba_8Ga_<16>Sn_<30>において、Baイオンはオフセンターを安定位置とする巨大振幅の非調和振動を行っている事を明らかにした。この結果は、スクッテルダイトではオフセンターを持たない非調和振動を示すことと、対照的である。温度変化の結果と物性とを比較を通じて両者の相関を明らかにする事を目指し、解析に取り組んでいる。β-パイロクロアについては、今回国内の単結晶中性子回折実験としては最小の1mm角以下のCsOs_2O_6単結晶で測定を行い、構造解析が行える100反射以上の強度データの測定に成功した。マキシマムエントロピー法を用いたβ-パイロクロアにおけるラットリング振動の可視化に向けて、現在解析を進めている。スクッテルダイトに加え、新たに2つの系へと研究を展開出来たことで、非調和大振幅振動の発現条件や物性との関連のより普遍的な理解に向けて、重要な進展が得られた。
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