2011 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的フラストレート系におけるスピン励起と格子振動の中性子非弾性散乱研究
Publicly Offered Research
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
22014001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富安 啓輔 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20350481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 伸一 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (10344201)
渡辺 忠孝 日本大学, 理工学部, 講師 (70409051)
原 茂生 中央大学, 理工学部, 助教 (60520012)
高阪 勇輔 青山学院大学, 理工学部, 研究支援者 (60406832)
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Keywords | フラストレーション / 中性子散乱 / 超音波測定 / スピン分子 / スピン軌道分子 / オービトン / ポーラロン |
Research Abstract |
次年度である平成23年度では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響が深刻であり、中性子実験を追加することはできなかった。しかしながら、これまでに測定の完了した中性子データの数値解析やその他の手法による実験を遂行し、幸い、一定の成果を得るに至ることができた。 スピネル酸化物MgCr_2O_4、HgCr_2O_4、ZnF_2O_4において、複数の型のスピン分子励起を発見した。これらの結果から、スピン分子励起は少なくとも軌道自由度の無いパイロクロア格子上ではかなりユニバーサルに存在し、分子の型の多様性は交換相互作用やパスの微妙な差異に由来することを示唆した。 スピネル酸化物GeCo_2O_4においても、磁気秩序相と常磁性相の両方で分子型の磁気励起を発見した。Co^<2+>は非凍結の軌道角運動量を持つスピン軌道結合イオンと考えられるので、この磁気励起はスピン分子というよりもスピン軌道分子という拡張概念で理解されるべきものであろう。さらに、超音波測定により、常磁性相・磁気秩序相共に、スピン分子と格子の強いカップリングを示唆する弾性定数のソフトニングが観測された。この結果は、スピン分子がスピン軌道格子分子に拡張される可能性があることを示唆する。このような分子がオービトンやポーラロンとどのような関係にあるのか興味深い。 別のアプローチとして、モデルハミルトニアンを仮定し、エネルギー固有値と波動関数を数値的に計算することにより、中性子非弾性散乱断面積を解析することにも取り組んだ。その結果、スピン分子励起の背後に、ゼロ点振動的なスピン分子揺らぎ状態が隠れている可能性が示された。この可能性は超音波測定データの解析と一致する。
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[Journal Article] Molecular Spin-Orbit Excitations in the J_<eff>=1/2 Frustrated Spinel GeCo_2O_42011
Author(s)
K.Tomiyasu, M.K.Crawford, D.T.Adroja, P.Manuel, A.Tominaga, S.Hara, H.Sato, T.Watanabe, S.I.Ikeda, J.W.Lynn, K.Iwasa, K.Yamada
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Journal Title
Phys.Rev.B
Volume: 84
Pages: 054405-1-054405-7
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] PrCu_4T(T=Au,Ag)のf^2電子状態が関わる局在-遍歴性の中性子散乱を用いた研究2012
Author(s)
小林拓希, 斉藤耕太郎, 富安啓輔, 岩佐和晃, 張帥, 石川義和, J.-M.Mignot, A.Gilles, A.I.Kolesnikov, A.T.Savich, G.E.Granroth
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大
Year and Date
2012-03-27
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[Presentation] J-PARC偏極度解析中性子分光器POLANO計画の進展2012
Author(s)
大山研司, 岩佐和晃, 伊藤晋一, 横尾哲也, 富安啓輔, 松浦直人, 平賀晴弘, 藤田全基, 木村宏之, 佐藤豊人, 佐藤卓, 有馬孝尚, 猪野隆, 吉良弘, 坂口佳史, 奥隆之, 有本靖, 鈴木淳市, 清水裕彦, 武田全康, 金子耕士, 野尻浩之
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大
Year and Date
2012-03-25
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[Presentation] J-PARC偏極度解析中性子分光器POLANO計画の進展2011
Author(s)
大山研司, 岩佐和晃, 伊藤晋一, 横尾哲也, 富安啓輔, 松浦直人, 平賀晴弘, 藤田全基, 木村宏之, 佐藤豊人, 佐藤卓, 有馬孝尚, 猪野隆, 吉良弘, 坂口佳史, 奥隆之, 有本靖, 鈴木淳市, 清水裕彦, 武田全康, 金子耕士, 野尻浩之
Organizer
日本物理学会秋季大会
Place of Presentation
富山大
Year and Date
2011-09-22