2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレートした磁性体におけるベリー位相とその展開
Publicly Offered Research
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
22014002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
初貝 安弘 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80218495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 勲 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特任助教 (20422339)
濱本 雄治 筑波大学, 数理物質系, 助教 (30584734)
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Keywords | ベリー位相 / 量子液体 / 幾何学的位相 / シングレット / カゴメ格子 / パイロクロア格子 / 秩序変数 / 量子相転移 |
Research Abstract |
フラストレーションを古典的な局所安定構造の非存在と考えるとき局所的な残留エントロピーは十分な量子効果で完全に解放され局所的な安定化構造が形成される。1次元系でのパイエルス不安定性に伴う二量体形成が、このエントロピー解放機構の典型例であり、2次元、3次元の種々のフラストレート系においても一般の多量体形成が実現することは実験ならびに数値的研究において確認されているところである。これらの一般の多量体は量子相において孤立することなく近傍の多量体と相互作用し全体として励起にギャップをもつ量子的にもつれ合った状態が構成される。この観点に立つとき、古典的なフラストレーションに伴う局所エントロピーは量子もつれとして量子系に埋め込まれるのであり、この埋め込まれた古典的な自由度は、バルクの量子的にもつれ合った状態においては、いわゆるエンタングルメントエントロピーとして隠れた実効的な局所自由度(エッジ状態)の形で顕在化する。逆に、このギャップのある量子系において境界にあらわれる局所自由度がバルクエッジ対応の一つの例として量子系を特徴付けるのである。ここでこの議論を逆にして量子もつれ相とは何らかの断熱過程により、孤立した局所的な量子的構造(多量体)の集合体にまで励起ギャップを開けたまま連続変形できるものと定義しよう。このように定義した量子もつれ相は、量子論の準位交差の一般論に従うと単一相となるが系が離散的対称操作の下で不変であるときにはトポロジカルに明確に分類される多様な物質相が存在し得て、その各相は量子化ベリー位相をトポロジカルな秩序変数として分類される。本研究では、ダイマリゼーションを伴う1次元の整数スピン鎖ならびに2次元直交ダイマー系、カゴメ格子、パイロクロア格子上の多量体化に伴う励起ギャップを持つDirac電子系それぞれに対して具体的なトポロジカルな秩序変数を定義しその有効性を確認した。
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Research Products
(35 results)