2010 Fiscal Year Annual Research Report
三角スピンチューブにおける新奇な磁気状態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
22014009
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
真中 浩貴 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (80359984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 陽子 鈴鹿工業高等専門学校, 教養教育科, 講師 (20456643)
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Keywords | 三角スピンチューブ / スピンフラストレーション / 強磁場磁化過程 / 電子スピン共鳴 / X線構造解析 |
Research Abstract |
本研究内容は三角スピンチューブACrF_4(A=K,Rb,Cs)を作製して,その基底状態や磁気励起状態を様々な実験手法を用いて明らかにする事である。今年度はすでに良質な試料が得られている正三角スピンチューブCsCrF_4と,まだ高純化が不十分な不等辺三角スピンチューブKCrF_4の二つの試料に注目して研究を進めてきた。CsCrF_4の強磁場磁化過程と電子スピン共鳴測定より,反強磁性磁気秩序を起こさないギャップレスな基底状態が実現していることを明らかにした。この結果は,理論計算の結果とは一致しないが,正三角スピンチューブではスピンフラストレーションが強く働いていることを実験的にはじめて明らかにした。さらに19T程度の磁場をかけると磁場誘起磁気相転移を起こすことも突きとめた。この原因はスピンフラストレーションを磁場によって消失させた証拠だと考えている。中性子散乱実験とミューオンスピン共鳴実験にも取りかかっており,現在,解析途中である。一方,KCrF_4については良質な多結晶試料の作製に成功した。X線構造解析の結果,CsCrF_4と比べて2a×2b×2cの超構造をとっていることを突きとめた。帯磁率や比熱測定より,2段階の磁気相転移を起こすことを突きとめた。強磁場磁化測定を行った結果,反強磁性磁気秩序相ではスピンフロップ転移が観測できた。磁化曲線の理論計算から飽和磁場の1/3の磁化の位置に異常が現れることが予想されたが,実験を行った結果,その兆候は全くなかった。2段階の磁気相転移の原因や磁化曲線については,歪んだ結晶構造に起因すると考えており,今後,さらなる検討が必要である.さらに中性子散乱実験よりスピン構造の特定を現在,フランスで試みている。
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Research Products
(17 results)