2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレート系におけるトポロジカルな励起
Publicly Offered Research
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
22014010
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
門脇 広明 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70194876)
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Keywords | 磁性 / フラストケーション |
Research Abstract |
スピンアイスDy2Ti2O7における素励起が、磁気モノポールに類似した現象、もしくは3次元系におけるfractionalize可能なソリトン型励起、として理解可能であろうという理論的な考え方が注目されている。この考え方によると、Dy2Ti2O7の[111]磁場下におけるカゴメアイス状態に現れる気液型相転移の臨界点の性質を明らかにすることは、重要と考えられる。そこで臨界発散を調べるために、磁化測定、中性子散乱実験を行った。しかし予想に反して、明確な臨界発散は観測されないことが分かった。揺らぎが遅くなって、発散が抑制されることに原因があると考えられるため、研究の方向性を修正している。 スピンアイスDy2Ti2O7においては、線欠陥型の励起に起因するKasteleyn転移があることが、理論的に指摘されている。この予想を実験的に研究するために磁化測定、比熱測定、MCシミュレーションを用いて研究を行ない、その結果、理論上のシナリオに沿った形で実験データが解釈可能であることが分かった。これを発展させるために、中性子散乱実験に用いる大きな単結晶作成を装置の整備から行った。現状では、細い単結晶は比較的簡単に育成可能であるが、大きな単結晶の育成には成功しなかった。問題点の解決方法は予想できているので、来年度に期待したい。 量子スピンアイスではなかろうかと理論的に予想されていたTb2Ti2O7の基底状態を、粉末サンプルを用いて中性子非弾性散乱法により調べた。その結果、確かに量子揺らぎが非常に強い系であるという興味深い結果を得た。今後、量子スピンアイス状態やトポロジカル励起の研究への発展を期待している。
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Research Products
(3 results)