2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレート系におけるトポロジカルな励起
Publicly Offered Research
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
22014010
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
門脇 広明 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70194876)
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Keywords | 磁性 / フラストレーション |
Research Abstract |
スピンアイスにおける素励起が、磁気モノポールに類似した現象(専門用語では、3次元系におけるfractionalize可能なソリトン型励起)として理解可能であろうという理論的な考え方が注目されている。このモノポール励起は、新しい集団励起現象であり、また観測し難いこともあって、新しいアイデアに基づく実験が可能と考えられる。研究計画のひとつは、カゴメアイスDy2Ti207[111]磁場下での気液相転移の臨界点(Tc=0.36K,Hc=0.93T)近傍において多数生成されていると考えられている磁気モノポールを、AC磁場を用いて動かすことにより、AC磁化率として観測することであった。この実験は、大震災後の自主節電のためスタートが半年遅れてしまったが、2012年3月に行った実験では、予想に沿った形の非常に興味深い実験データが得られた。現在進行中の解析等も含めて論文にまとめる予定である。いくつか計画した中性子散乱実験は、原研(東海村)の研究用原子炉が地震のダメージ等により、現在も稼働できない状況であるため、実験できない状況になってしまっている。早期の再稼働を期待したい。この中性子散乱実験の代わりに、Tb2Ti2O7の研究に乗り出した。この系は、量子スピンアイス状態ではなかろうか?と推測されている系である。量子効果が働くスピンアイスでは、磁気モノポールが、Dy2Ti2O7のような古典的系に比較して良く動くことが期待できることが、この研究の基本的なアイデアである。Tb2Ti2O7の基底状態の実験研究は、再現性が得られないため難問と考えられていたが、Tb2+xTi2-xO7+yのxを微小量コントロールすることにより、スピン液体状態と長距離秩序状態の間をtuning可能であることが分かった。tuning可能であれば、今後大きな発展が期待できる。
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Research Products
(10 results)