2010 Fiscal Year Annual Research Report
軌道自由度付フラストレーション系における三量体の物理
Publicly Offered Research
Project Area | Novel States of Matter Induced by Frustration |
Project/Area Number |
22014013
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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Keywords | 幾何学的フラストレーション / 軌道自由度 |
Research Abstract |
A2V13O22における三量体形成と不純物効果 A2V13O22(A=Ba,Sr)は、Vが規則的に欠損した擬V三角格子が3層、fcc格子的に積層した構造をとり、Baでは290K、Srでは380Kで三量体相転移を起こすことが、我々によって見出されている。このV3+(3d^2)サイトに非磁性不純物Sc、磁性不純物Cr(3d^3)を導入した試料を作製した。その結果、不純物ドーピングによって、三量体相転移に伴う電気抵抗の増大、帯磁率の滅少が消失することを見出した。さらに、帯磁率のキュリーワイスの振る舞いの解析から、三量体形成により全体としてスピンシングレットになっていたVイオンが、不純物ドーピングに伴って全てS=1のスピンに変化していると解釈できることを見出した。 Ba2Ti13O22単結晶の作製と物性 Ba2Ti13O22は、上記のA2V13O22と同じ結晶構造をとるが、V3+(3d^2)ではなくTi3+(3d^1)によって構成されている。この物質の単結晶をFZによって作製した。この単結晶の電気抵抗と帯磁率を測定した結果、この物質は基本的には金属であり、210Kで電気抵抗の増大と帯磁率の減少が起こることを見出した。これは電荷密度波相転移の振る舞いと類似している。また、単結晶および多結晶の結果の比較から、この物質の物性は試料依存性が強いことを見出した。おそらく酸素のoffstoi chi ometryが重要な役割を果たしていると考えられる。
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