2010 Fiscal Year Annual Research Report
極微歪空間を利用した機能性負の熱膨張物質の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Nano Materials Science for Atomic Scale Modification |
Project/Area Number |
22015005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山村 泰久 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (80303337)
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Keywords | 負の熱膨張 / ZrW_2O_8 / イオン伝導 / パーコレーション / ナノ歪空間 |
Research Abstract |
負の熱膨張特性を示すZrW_2O_8関連化合物の研究は,基礎研究だけでなく実用化に向けた研究が進められているが,他の特徴的な機能性の付加が求められている.このZrW_2O_8では,Zr^<4+>サイトを3価の陽イオンで置換することにより,ナノ歪空間を生み出すことができる.このナノ歪空間は,置換陽イオンがもたらす格子歪と酸素欠陥の絶妙なバランスによって生み出されることから,置換陽イオン種と濃度を精密に制御しできればナノ歪空間を経由した酸化物イオン伝導特性を付与することが期待できる.本研究では,ZrW_2O_8に"ナノ機能元素"を用いて酸化物イオン伝導という新たな機能を付加し,機能性「負の熱膨張」物質を開発することを目的とする.本年度は,試料の合成とイオン伝導の評価用の測定装置の整備を行った,試料合成については,3価の陽イオン(M^<3+>)でZr^<4+>サイトを置換したZr_<1-x>M_xW_2O_<8-y>置換体の合成を試みた.置換する3価の陽イオン種としてはSc^<3+>およびLu^<3+>を選択し,3価陽イオンの組成を変化させた固溶体の合成を試みた.合成した試料の評価は,粉末X線回折装置を用いて行った.ドープ量が低ければ,置換陽イオンによる不純物はほとんど見られなかったが,高いドープ量の試料については不純物が若干残存する結果となった.今後さらなる合成法の最適化が必要であることが明らかとなった.また,イオン伝導を評価するためのインピーダンス測定装置の開発を行った.
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