2010 Fiscal Year Annual Research Report
電界誘起二次元電子層の可視化
Publicly Offered Research
Project Area | Nano Materials Science for Atomic Scale Modification |
Project/Area Number |
22015009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 裕道 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80372530)
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Keywords | SrTiO_3 / 二次元電子層 / 熱電能 / 水の電気分解 / 多孔質C12A7ガラス |
Research Abstract |
本研究の目的は、SrTiO_3単結晶上に作製した電界効果トランジスタ構造へのゲート電圧印加によりゲート絶縁体/SrTiO_3界面に蓄積される二次元電子層を可視化することである。H22年度は大量に「水」を含んだ多孔質C12A7ガラスを新規に開発し、それぞれの孔に含まれる水をゲート絶縁体として応用した。この「水」を含んだ多孔質C12A7ガラスを金属TiとSrTiO_3に挟んで電圧を加えると、水の電気分解によって絶縁体のはずのSrTiO_3の表面に、厚さ3nm以下の極めて薄い金属SrTiO_3が生成し、通常の金属SrTiO_3に対して4-5倍高い熱電能を示すことが分かった(2010.11.17 Nature Communicationsに掲載)。室温で「水」の電気分解を行うだけという極めて簡便かつ安価ででき、材料であるSrTiO_3は環境に優しい安全な酸化物であることから、実用可能な熱電材料の創製手法として期待できる。また、SrTiO_3の電子伝導性が連続的に次元クロスオーバー(三次元→二次元)する様子を世界で初めて観測した。電界+水電解によりSrTiO_3の表面を絶縁体から極薄金属まで変化させながら電子輸送特性(熱電能S-シートキャリア濃度n_s)を精密計測し、|S|-log n_sプロットの傾きが三次元的な-198μVK^<-1>から二次元的な-1000μVK^<-1>に連続的に移り変わる様子をとらえることに成功した。本手法は、酸化物半導体の伝導電子濃度と厚さを同時に変化させながら熱電能を計測するという従来にない次元クロスオーバーの観測手法であり、多くの酸化物半導体の二次元電子物性の理解に貢献するだろう(論文投稿準備中)。さらに二次元電子層を直接電子顕微鏡観察するとともに、その電子状態を調べ、上述の巨大熱電能の起源を明らかにしようと試みたが、C12A7薄膜中の水分が電子線照射時に爆発的に蒸発するため、現在高分解能TEMで二次元電子層にアプローチ中である。
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