2011 Fiscal Year Annual Research Report
強相関酸化物ヘテロ界面における新奇な界面電子状態の物理的機構に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Nano Materials Science for Atomic Scale Modification |
Project/Area Number |
22015012
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
澤 彰仁 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究グループ長 (10357171)
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Keywords | 超格子 / 表面・界面物性 / セラミックス / 強相関電子系 |
Research Abstract |
本年度は、強相関ヘテロ界面および強相関酸化物薄膜の界面電子状態の研究において以下のような成果が得られた。 (1)強相関ヘテロ界面 強相関ヘテロ界面で発現する特異な電子状態の発現機構の解明を目指して、典型的なモット絶縁体であるLaMnO3とSrMnO3からなる強相関酸化物超格子を対象として、放射光X線測定やSTEM-EELSによるミクロな構造および電子状態を継続して行った。特定領域内での連携研究によるSTEM-EELSにより、強相関酸化物LaMnO3とSrMnO3の超格子界面の電子物性は、界面の原子レベルでの平坦性と、格子ミスマッチに起因する歪に大きく依存することが明らかになり、放射光軟X線共鳴散乱の結果と合わせ原子レベルで平坦な強相関ヘテロ界面では従来報告されているような界面の電荷移動はほとんど起こらないことが明らかになった。 (2)強相関酸化物薄膜 わずかな元素置換が強相関酸化物薄膜の電子物性に与える効果を明にすることを目的に、CeをドープしたCaMnO3薄膜を対象に、元素置換量に対する電子相図を詳細に調べた。その結果、CaMnO3薄膜の電子相図は、基板からのエピタキシャル歪に対して大きく変化することが分かり、圧縮歪を受けた薄膜は、歪のない薄膜に比べて、半分以下のCeドープ量で絶縁体から金属に相転移することを見出した。反対に、引っぱり歪を受けた薄膜は、Ceをドープしても金属に転移しないことも分かった。 これらの結果から、強相関酸化物薄膜とそのヘテロ界面の電子物性制御や、新たな機能発現には、元素置換等によるキャリア量の制御に加え、歪の制御が重要であると言う知見が得られた。
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[Journal Article] Strain-Mediated Phase Control and Electrolyte-Gating of Electron-Doped Manganites2011
Author(s)
Ping-Hua Xiang, Shutaro Asanuma, Hiroyuki Yamada, Isao H.Inoue, Hiroshi Sato, Hiroshi Akoh, Akihito Sawa, Kazunori Ueno, Hongtao Yuan, Hidekazu Shimotani, Masashi Kawasaki, Yoshihiro Iwasa
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Journal Title
Advanced Materials
Volume: 23
Pages: 5822-5827
DOI
Peer Reviewed
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