2010 Fiscal Year Annual Research Report
単一単層カーボンナノチューブへの構造制御欠陥の自在導入
Publicly Offered Research
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
22016001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
保田 諭 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (90400639)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電気化学 / Niナノ微粒子 / 酢酸 / ラマン分光 |
Research Abstract |
機能活性サイトとなる様々な欠陥構造ならびに電子物性を支配するカイラリティーを完全制御した、カーボンナノチューブを合成する技術を確立する。上記目的を達成するために、ナノチューブ合成過程の温度を下げ、熱揺らぎの影響を少ないプロセスでの合成を試みる必要がある。平成22年度は、室温での合成が可能な、電気化学プロセスによるカーボンナノチューブ液相合成装置を試みた。まず、電気化学合成装置の構築を行い、ナノチューブ成長のための触媒であるNiナノ微粒子を金電極上に担持するために、Niイオンを含む電解質溶液中において金属電析プロセスの最適化を試みた。電析電位-1V、電析時間10-100msの印加により、ナノチューブ成長に最適な1~10nmのNiナノ微粒子を、金電極表面上に一様に担持合成できることを原子間力顕微鏡測定から明らかにした。 Niナノ微粒子を電析後、炭素源に酢酸を用い、金電極上にカソード電析を行い、カーボンナノチューブ合成を試みた結果、酢酸の電気分解由来の大きなカソード電流が観察された。ラマン分光法による評価の結果、電極表面上に単層カーボンナノチューブの直径方位振動由来のRBM、グラフェン構造由来のG-バンドの振動モードが明白に観察された。以上の結果から、電気化学プロセスにより、室温・溶液中で単層カーボンナノチューブの合成が可能である事を初めて明らかにした。
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