2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ複合系の励起子エネルギー移動と光物性制御
Publicly Offered Research
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
22016004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50159068)
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Keywords | ナノチューブ / フェムト秒分光 / 励起子 / 光物性 / フラーレンピーポッド |
Research Abstract |
1.二層カーボンナノチューブの発光起源に関する研究 二層カーボンナノチューブの発光起源として、内層ナノチューブとする報告および二層ナノチューブ試料中に含まれる単層カーボンナノチューブとする2種類の報告があり、その起源が明らかになっていない。二層カーボンナノチューブのバンドル試料では、内層ナノチューブから外層ナノチューブへの励起子エネルギー移動が約160fsで起こることを、我々は平成21年度の研究により明らかにした。ナノチューブを孤立分散させる超音波処理のプロセスによって内層ナノチューブが飛び出して二層ナノチューブの不純物となることに着目して、処理方法の異なる2種類の試料を対象にして発光ダイナミクスを測定した。超音波照射とミセル化処理をした後に、密度勾配遠心分離法により不純物として残留する単層カーボンナノチューブを除去した試料では、内層から外層ナノチューブへの超高速励起子移動が起こり、内層ナノチューブからの発光は観測されない。一方、単層ナノチューブを除去していない試料では強い発光が観測された。これらの結果から、通常の方法で孤立分散した二層ナノチューブ試料において観測される発光起源は単層ナノチューブ不純物であり、内層ナノチューブの発光効率は単層ナノチューブのそれの1/70~1/7000であることがわかった。 2.フラーレンピーポッドの作製と構造評価に関する研究 計画班のグループ(齋藤弥八氏ら)との共同研究により、透過電子顕微鏡を用いてフラーレンピーポッドの構造を調べた。C_<60>^-、C_<70>^-ピーポッドでは、フラーレン分子は約0.3nmの間隔でナノチューブ中に配列している。一方、C_<84>^-ピーポッドでは、C_<84>分子間で架橋構造を形成して配列し、分子の重合を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(14 results)