2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの光機能性発現に向けた光学応答制御
Publicly Offered Research
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
22016007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 一成 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (40311435)
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Keywords | カーボンナノチューブ / プラズモン |
Research Abstract |
近年、単層カーボンナノチューブを新しい光学材料として応用することが検討されている。しかし、当初報告された発光効率は低く、光機能性材料として十分ではない。光学材料への応用を考えると、発光量子効率が何で決まっているかを明らかにし、量子効率(強度)を何らかの方法で上げることが最重要課題であると言える。本研究では、カーボンナノチューブの発光効率が実際にどのくらいの値であるのか、また何がそれを律則しているのかという、ナノチューブの基礎物理をまず明らかにする。さらに、ナノプラズモニクス技術を利用し、ナノチューブの発光効率(強度)の向上を目指し、新しい光機能性を探索することを目的として研究を行った。 カーボンナノチューブにおける高効率な発光を実現するために、プラズモン共鳴現象を利用した発光増大現象について詳細に調べた。ここでは、プラズモン共鳴を起こすために、ナノスケールの凹凸を有する金基板上にカーボンナノチューブを起き、そこでの発光強度を詳細に調べた。その結果、発光強度は励起波長に強く依存し、その強度増強はガラス基板上での場合に比べ、平均数倍(最大で10倍に達する)であることがわかった。またその共鳴波長は、プラズモン共鳴波長にほぼ一致すること、さらに有限差分時間領域法による計算から、プラズモン共鳴によってその局所電場は数十倍におよぶことがわかった。このことから、ここで観測した発光増強現象にプラズモン共鳴が深く関わっていることを実験的に明らかにした。さらに、金基板とナノチューブ間のスペーサー層厚を変え測定したところ、発光増強はスペーサー厚に対して極大値をもつことがわかった。これは、プラズモン共鳴による電場増強と金へのエネルギー移動による失活過程との競合で起こることを明らかにし、プラズモン共鳴によるナノチューブの発光増大現象の素過程を理解することができた。
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Research Products
(6 results)