2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノデバイス応用に向けたカーボンナノチューブ自己複製成長法の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Carbon nanotube nanoelectronics |
Project/Area Number |
22016008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 慶裕 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30393739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 良太 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30381586)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / カイラリティ制御 / 化学気相成長法 / 自己複製成長 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)のナノデバイス応用には特定構造を持った単層CNTを選択的に合成する手法の確立が必須である。本研究課題の目標は、この問題を解決する技術として、予め特定の構造のみに分別したCNT成長核から同一構造のCNTを再成長(自己複製成長)する技術を開拓することである。H22年度は、CVD成長装置の整備を完了すると共に、CNT自己複製成長に向けた要素技術の確立を進めた。原料ガス活性化と成長の温度を独立制御可能な多温度ゾーン反応炉を装備したCVD成長装置の基本特性を通常の金属触媒やナノダイヤモンド粒子を成長核としたCNT成長により検証し、CNT再成長への基本技術を確立した。CNT構造(カイラリティ)を識別した評価手段であるラマン分光法を用いて、CNTを成長核とした自己複製成長を検証した。しかし、基板上でのCNT密度の不均一性に起因するスペクトル強度の揺らぎのため、成長前後のラマンスペクトル強度変化から自己複製成長を検証するには数10%以上の著しい成長が必要と判明した。そこで、フラーレンC60を核としたCNT成長条件の探索を当面の課題とした。フラーレンはCNTの末端部分と同様のキャップ構造を持ち、CNT自己複製成長と類似の条件で成長すると考えられる。しかもラマンスペクトル形状が大きく異なるため、CNT成長の検証は容易である。多温度ゾーンCVD装置を用いて成長条件を探索した結果、c60成長核からの単層CNT成長を確認した。さらに、石英基板を用いた方が熱酸化Siやサファイア基板よりも成長効率が高いこと、成長効率の成長条件依存性は金属触媒やナノダイヤモンド成長核とは大きく異なっていることを見出した。これらの現象は、C60核からのCNT成長機構と深くかかわっている。H24年度は、これらの知見に基づいた高効率成長により、CNT自己複製成長の検証へと展開する。
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