2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属材料の表面および内部のトリチウム汚染・除染過程の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Tritium Science and Technology for Fusion Reactor |
Project/Area Number |
22017005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 哲平 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教 (80315118)
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Keywords | トリチウム / 金属 / 拡散 / 捕獲 / 除染 |
Research Abstract |
核融合炉第一壁やダイバータ材料はトリチウムプラズマに曝されるため、材料表面だけでなく内部のトリチウム汚染が懸念されている。本研究は、金属材料をトリチウムを含んだ水素プラズマに様々な条件下で曝した後、材料表面および内部(深さ方向)のトリチウム分布をイメージングプレート法により測定し、その分布の温度変化および時間変化を調べることにより、金属材料のトリチウム蓄積(汚染)および放出(除染)の機構の解明を図るものである。 今年度は、第一壁およびダイバータの候補材料であるタングステンや低放射化フェライト・マルテンサイト鋼について調査を行い、いずれの材料においても、プラズマによって注入された水素の深さ分布は最表面および表面近傍数百ミクロン深さ領域の各捕獲成分および内部の深さ方向への拡散進入成分の3つに分けられるということが明らかになった。最表面の捕獲成分は材料をガス状の水素に曝した場合にも観測されるものであり、材料表面へ水状(HTO)または-OH(T)基として吸着したものと考えられる。一方、表面近傍数百ミクロン深さ領域の捕獲成分は、プラズマ注入後にのみ観測されるものであり、プラズマ注入してから307日間大気中で材料を保持しても、その分布がほとんど変化せずに長く滞ったことから、プラズマ注入によって表面近傍に新たな生成した捕獲座に水素が強く捕獲されたものであることが示唆された。さらに、内部深さ方向には各材料中でバルク拡散によって溶解水素が進入したことが示唆された。表面近傍数百ミクロン深さ領域の捕獲成分と拡散進入成分とは相対濃度比が数桁以上異なるが、両者を同時に測定することは本研究によって初めて可能になったものである。
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