2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンダストおよび中性子照射した炭素材中の水素蓄積とその低減化に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Tritium Science and Technology for Fusion Reactor |
Project/Area Number |
22017006
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
渥美 寿雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (70192979)
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Keywords | 炭素 / 黒鉛 / 水素 / 吸収 / 放出 / 拡散 / 中性子照射 / プラズマ対向材料 |
Research Abstract |
核融合実験装置で用いられてきた炭素材料は、化学スパッタリングによる損耗と材料中への多量の水素(トリチウム)保持が問題とされている。このため、ITERのような今後の装置では、わずかな部分での使用に限定されることになっているが、前述の化学スパッタリングにより、タングステンやベリリウム等の他の材料の上にダストとして堆積し、結局多量の水素を蓄積することになる。さらに、このカーボンダストは、通常の炭素タイルに比べ、その欠陥構造のため水素保持量が著しく増加することが懸念される。 この研究では、カーボンダスト及び中性子照射によって欠陥を導入した炭素材料中の水素保持と放出挙動を調べること、およびその低減化の検討を目的とした。本年度は、中性子照射材に最適化した水素実験装置および放出実験装置の改修に研究費の約50%を使用した。中性子照射は、日本原子力研究所材料試験炉JMTRおよびベルギーの研究炉BR2を用い、照射後の水素吸収実験を実施した。照射により水素捕獲サイトの増加、およびその焼鈍過程について新しい知見が得られ、水素保持についてのシミュレーションを行うことができた。照射により、比較的低い線量では、結晶子の微細化に伴う結晶子エッジサイトが増加し、照射量の増加により、黒鉛層間のクラスターサイトが増加した。このクラスターサイトは、熱的に極めて安定で、1600℃での焼鈍でもほとんど減少しないことが分かった。放出挙動については現在測定を継続中で、最終年度となる次年度で成果をまとめ順次公表していく予定である。
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Research Products
(3 results)