2010 Fiscal Year Annual Research Report
電極界面におけるイオンの水和構造ダイナミクス
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
22018002
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
山方 啓 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60321915)
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Keywords | 赤外表面増強場 / ピコ秒時間分解赤外分光 / 溶媒効果 / 溶媒配向緩和 / 電気二重層 / 電荷移動 / 水の配向変化 / 水素結合ネットワーク |
Research Abstract |
固体表面を含めてすべての物質は水和することで水の中で安定化され、分子が表面に吸着することを妨げている。したがって,固液界面反応を理解するためには,溶質が表面に接近する際の水分子の構造変化を調べる必要がある。しかし,物質が互いに接近する際の水和構造の変化を分光学的に調べた例はない。そこで我々は,電気化学システムと時間分解表面増強赤外分光法(SEIRAS)を組み合わせることでこのような研究を実現した。電気化学的手法を用いると,表面と溶質(イオン)の間に働く相互作用を制御することができる。したがって,電位ジャンプにより水和した親水性,疎水性カチオンを急速に電極表面に近づけた際に,イオンの水和殻や界面の水分子の構造が変化する過程を調べることができる。本研究では、疎水性のCOが吸着したPt電極表面に親水性のNa^+と疎水性のTPA^+を電極界面に接近させたときの水分子の構造変化を時間分解測定した。その結果、疎水界面に疎水性イオンが接近すると、100~200ミリ秒かけて界面の水分子が押しのけられ、それとほぼ同時に疎水性イオンの周りの水和殻が崩壊するのに対して、親水性イオンの場合には、電気二重層の充放電時間(この系では約3ミリ秒)で界面の水分子が押しのけられ、イオンの水和殻そのものは破壊されない、という現象を観測した。親水性イオンと疎水性イオンの接近に伴う界面水分子の構造変化速度にこのような大きな違いがあるのは、イオンの周りにある水分子の配向が異なるためであると考えられる。 詳細については、次年度さらに詳しく調べる。
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Research Products
(11 results)