2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分子鎖内の電荷および励起エネルギー非局在過程の検討
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
22018017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤塚 守 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40282040)
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Keywords | 電子移動 / DNA / シクロファン / 電荷非局在 / 電荷共鳴帯 / レーザーフラッシュフォトリシス / パルスラジオリシス / 電荷マイグレーション |
Research Abstract |
本研究では、高分子鎖内で非局在化した励起エネルギーおよび電荷の挙動について、超高速分光法を主として用い解明することを目的としている。本年度においては、以下の検討を行った。 (1)DNA内での電荷移動過程の解明。核酸塩基が高度にスタックした生体高分子であるDNA内における電荷移動は広く検討されているが、その多くはホール移動に関するものであり、電子のマイグレーションである過剰電子移動に関する知見は限られている。われわれはDNA内の電子マイグレーションの解明を目的としてDNAに光増感電子供与体および電子受容体を結合し、フェムト秒からマイクロ秒領域におよぶ時間分解分光法で検討することにより、電子マイグレーション過程およびその配列依存性を明らかにした。 (2)多層スタックしたπ-共役系分子間における電荷非局在。スタックしたπ-共役系分子であるシクロファンを用いて正電荷および負電荷の非局在をすでに報告してきたが、本年度においては、二層および四層のシクロファンにおける正電荷の非局在過程を放射線化学的手法を用い明らかにした。Face-to-faceにスタックした、三層および四層のシクロファンではすべてのベンゼン環に正電荷が非局在することに起因する電荷共鳴帯を近赤外領域に確認することができ、その安定化エネルギーを導出することができた。さらに、分子構造の揺らぎに起因する過渡現象を吸収変化として検出することに成功した。また、シクロファンの結合様式に伴う再結合速度の違いを明らかにした。
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