2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒赤外-紫外二重共鳴法によるサイト選別したベンゼンクラスターの振動緩和の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
22018020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江幡 孝之 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70142924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 佳哉 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30311187)
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Keywords | ベンゼンクラスター / ピコ秒時間分解 / 外-紫外ポンプ-プローブ法 / 振動緩和 / サイト選別 |
Research Abstract |
本研究は,ベンゼンクラスターのクラスター構造と振動緩和機構の関連を明らかにすることを目的とした。昨年に引き続き,超音速分子線装置とピコ秒の時間分解赤外-紫外ポンプープローブ分光装置を用い,まずベンゼン二量体について励起サイト(トップサイト、ステムサイト)を区別して振動励起し,それぞれのサイトのベンゼンのCH伸縮振動(~3000cm^<-1>)の振動緩和の実時間観測をより精密に行った。その結果,ステムサイトのCH伸縮振動の緩和寿命は140~170psであり,トップサイトのCH伸縮振動の緩和寿命370~400psに比べ2.7倍ほど短いことが分かった。この違いは,ステムサイトベンゼンがトップサイトベンゼンよりも対称性が低下していることと,ステムサイトベンゼンのCH基はトップサイト側のベンゼン環とのCH-π相互作用が大きくなるために,ステムサイトベンゼンのCH振動の緩和が速くなるためであると結論した。さらに励起したサイトのベンゼン側からエネルギー緩和は3段階の過程で進み,分子間振動を経由してクラスター全体に緩和し,最終的に2-6ナノ秒で解離することを明らかにした。また,三量体についても同様な実験を行ったところ,CH伸縮振動の緩和寿命は50ps,解離寿命も1ナノ秒と二量体に比べどちらも速くなることが分かった。この違いは,三量体では,T-型二量体に比べサイト間のベンゼンの相互作用が大きくなることと,解離状態の状態密度が大きくなるためと結論した。
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Research Products
(20 results)