2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線鏡面/非鏡面反射同時計測による界面と相互作用する生体分子の面外面内構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Supra Functional Systems ? Development of Advanced Methods for Exploring Elementary Process |
Project/Area Number |
22018028
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
矢野 陽子 (藤原 陽子) 立命館大学, 総合理工研究機構, チェアプロフェッサー (70255264)
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Keywords | 気液界面 / X反射率法 / タンパク質 / ダイナミクス |
Research Abstract |
生体が物質を認識する、ということは、物質表面にタンパク質が吸着することによって起こる。また、人工組織や生体物質を使った新しい機能性材料の開発など、医学的および技術的応用の両面においても生体物質と界面の相互作用を知ることは非常に重要である。本研究では、タンパク質が気液界面に吸着する過程で起こる構造変化をX線反射計測により追跡する。SPring-8の高輝度放射光源を用い、気液界面のX線鏡面反射強度とその周囲に生じる微弱な散漫散乱を精度良く計測することにより、界面に垂直/水平方向の構造情報を同時に取得する手法を確立する。 H22年度は、SPring-8の溶液界面X線反射率計を用いた微弱な散漫散乱と鏡面反射の同時精密測定に成功した。2M NaCl水溶液中での卵白リゾチームの吸着現象を観測したところ、次の明確な4段階を経ることがわかった。(1)界面吸着によるアンフォールディング(2)単分子膜形成(3)リフォールディング(4)島状凝集体形成。(3)-(4)は等電点および低イオン濃度では起こらないことから、Cl-がリゾチームの電荷を遮蔽することが原因だと考えられる。すなわち、界面では「塩析」現象がバルクよりも顕著に起こることを見出した。この結果はJ.Phys.Chem.letters, 2011, 2, 995-999.に掲載された。
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Research Products
(4 results)