2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗リン酸化ペプチド抗体を用いた細胞周期制御機構の可視化
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60232758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 有紀 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任研究員 (30571088)
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Keywords | 生物・生体工学 / 分析化学 / 蛋白質 / 可視化 / 翻訳後修飾 / 免疫測定 |
Research Abstract |
細胞周期依存的にリン酸化制御を受けることが細胞分裂に必須な、細胞骨格タンパク質ビメンチンSer71,Ser82について、そのリン酸化修飾を蛍光強度でリアルタイムに検出する方法を開発した。 具体的には、無細胞蛋白質合成系を用いてN末端近傍をTAMRAやCR6Gなどのローダミン系蛍光色素でピンポイント標識した一本鎖抗体scFvあるいはFab断片が、抗体内部の芳香族残基による消光(クエンチ)が抗原の結合によって顕著に解消される現象を応用することで、抗原結合によって蛍光強度が増加する抗体プローブQuenchbodyが作れることを見出した。この方法でビメンチンSer71リン酸化認識抗体TM71 scFvをプローブ化したところ、条件最適化の結果、試験管内で対照と比較してリン酸化Ser71ペプチド抗原を加えた場合に最大3倍の蛍光強度上昇が見られた。また、Ser82リン酸化認識抗体MO82 scFvにおいては,分子内に複数のCR6G色素を導入することで色素間クエンチ効果により応答性が向上し,最大6倍の抗原依存的応答を得ることができた。これにより,試験管内でnM程度の高感度でリン酸化を検出することに成功した。 また、還元的な細胞内への導入を念頭に,より大量に細胞内でも安定なFab型抗体プローブを得ることを目指し,モデル抗体のN末端近傍にラベルのためのCys残基を付加した抗原結合活性のあるFab断片を大腸菌で大量発現・精製することに成功した。今後、抗ビメンチンリン酸化抗体についてこれを行い、Cys残基のSH基を介して蛍光ラベルを導入したFabを調製すれば、これらを生細胞への導入することで細胞内でのリン酸化検出が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類のビメンチンリン酸化を特異的に検出可能な蛍光プローブ作製に成功し,現在論文を投稿中である。プローブの細胞導入についても,安定性の高いFab型として大量に調製できる目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後本研究課題を発展させ,標的細胞自身に発現可能な蛍光抗体プローブの一般的な構築法を確立できれば、そのインパクトは大きいと考えられる。
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Research Products
(9 results)