2011 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂におけるAPC制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019013
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 歩 静岡大学, 理学部, 准教授 (70359082)
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Keywords | 細胞生物学 / 分子生物学 / APC / 減数分裂 / 染色体分配 / セントロメア / スピンドルチェックポイント |
Research Abstract |
配偶子形成に必須な減数分裂では体細胞分裂と異なり二回の染色体分配が起こり、この進行はAnaphase Promoting Complex(APC)ユビキチンリガーゼによるタンパク質分解によって制御されている。体細胞分裂ではAPCはCdc20とCdh1という異なる活性化因子によって制御されるが、減数分裂におけるAPCの制御機構の詳細は不明である。分裂酵母のAPC活性化因子であるSlp1(分裂酵母のCdc20)、Ste9(分裂酵母のCdh1)および減数分裂特異的なFzr1/Mfr1について、これら因子の減数分裂における機能を明らかにするために、これらと既知のAPC基質であるCdc13、Cut2、およびMes1との結合を酵母2ハイブリッドアッセイ法(Y2H法)によって解析した。また、活性化因子の基質結合ドメインを交換したキメラ分子を作成し、細胞内で発現させ、機能互換性を検討して基質認識および制御の差異の解明を試みた。その結果、活性化因子はそのWDドメインを介して基質と結合すると考えられているが、2YH解析によってSlp1、Fzr1、Ste9はWDドメインに加えてC末端部位が基質結合に関与すること、また基質認識配列が異なることを見いだした。また、キメラを用いた解析から基質結合ドメインの互換性がなかった。このことから実際に細胞内でも基質認識が異なることが支持された。さらにSlp1の阻害因子であるスピンドルチェックポイント因子Mad2が紡錘体微小管と染色体との結合形成の制御に関与するという結果が得られていたため、さらにキアズマが形成される場合とされない場合における結合への影響を染色体分配によって解析した。その結果、Mad2が欠損するとキアズマが形成される場合には姉妹染色分体のスピンドルの両極との結合が増加し、キアズマ形成されない場合には反対にその結合が減少するということを示す結果が得られた。これらの結果からMad2が張力を介して染色体とスピンドルの結合に関与すると考えられ、APCが張力を介した結合形成に関与する可能性が示唆された。
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