2010 Fiscal Year Annual Research Report
G2期におけるauroraBによるヒストンリン酸化の意義
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
22019023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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Keywords | ピストン / リン酸化 / オーロラB / 染色体 / 細胞周期 |
Research Abstract |
ヒストンH3は染色体の主要な構成成分であり、その10番目と28番目のSer残基は、細胞周期のM期にaurora B複合体により高度にリン酸化を受ける。aurora Bの発現はS期に上昇するが、ヒストンH3のリン酸化状態は、PP1を主とした蛋白質脱リン酸化酵素とaurora Bとのバランスにより調節されている。これまでに、間期におけるH3のリン酸化が染色体の正常な分配に寄与することを示唆する結果が得られている。そこで、本研究では、細胞周期の間期におけるヒストンH3 Ser10 (H3S10)リン酸化の染色体分配の制御における意義について明らかにすることを目標とした。本年度は、リン酸化H3S10を持つクロマチンに濃縮される蛋白質の同定を試みた。細胞をホルムアルデヒドで固定した後、リン酸化H3S10特異的抗体を用いてクロマチン免疫沈降を行い、共沈する蛋白質を質量分析により解析した。その結果、DNAトポイソメラーゼ、hnRNP-U、HP1結合蛋白質などがコントロールに比較して優位に検出された。また、H3S10のリン酸化の時空間動態を明らかにするため、Cy3標識リン酸化特異的FabとGFP融合MBD (methyl-CpG binding domain)を用いて生細胞解析を行った。その結果、H3S10のリン酸化は、メチル化DNAが濃縮されたヘテロクロマチンから起こることが示唆された。今後、リン酸化の有無によるクロマチン構造の変化とその意義を明らかにするため、G2期とM期の相違、また、がん細胞と正常細胞との相違などに関して、クロマチン免疫沈降と質量分析を用いた定量的な解析を行う予定である。
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